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NHK杯全国高校放送コンテスト

校内放送指導者講座 報告



平成21年12月27日(日)、28日(月)の2日間、東京の千代田放送会館で、全国放送教育研究会連盟・日本放送協会主催、日本放送教育協会共催による「第32回校内放送指導者講座」が開かれました。全国から120人の先生が参加され各講座で熱心な研修が行われました。


■目的

高等学校における校内放送活動の意義と役割を確かめ、その指導についての諸課題を究明するとともに、具体的な指導の充実を図ります。


■対象

(1) 放送部(委員会)の指導にあたる者。
(2) 各都道府県コンテスト担当者および放送コンテストの審査にあたる者。


■講座一覧


以下は講座ごとの概要です。


■講座ごとの内容(概要)


講座1 顧問交流「放送部顧問として」

参加の先生方が、9人から12人の12班に分かれ、指導の悩みや解決策の意見交換を行いました。今回は、技術や機材の話題に対して、顧問の姿勢や生徒の達成感に関わる意見が多かったように思います。


【部員確保】

学校紹介ビデオや新入生オリエンテーションも新入生を勧誘する上で非常に重要/入学式の時にインタビューすることによって放送部の存在を新入生にアピール/毎日文章を書くので進学就職にも有利/編集がPCなのでパソコン好きを誘うとか


一本釣りというのがありましたが、上手そうな生徒を誘うのだけではなく、声をかけなければ、どこにも入らず3年間を過ごしてしまうという内気な生徒が増えているので、声をかける事が大事


中学生に向けては学校紹介ビデオの作成/学校説明会の運営に加わり、放送部が活動している姿を中学生に見せていく/放送部のPR CDを作って、部員が中学校に持って行く/小中学生向けのアナウンス講習会というのを行っている、放送部の生徒が指導を行っていくが、それをきっかけに放送部に入ってくる生徒もあった


【顧問の視点】

生徒の動機を大切にし一人一人に課題を持たせるなど、生徒個々の能力に応じた対応をしていく必要がある/生徒達の能力と私たちの忙しさとの兼ね合いが難しいところ/生徒達で、決まった時間に決まったことが出来るようになるまでは繰り返し指導を持続することが大切/指示を出した後は必ず最後に確認をするこまめな対応/5分でも10分でもいいから日頃から生徒と関わる時間を作る/例えば昼休みに弁当を一緒に食べるとか放課後に仕事を持ってでも放送室にいく/顧問が行けないとき用の分身となる生徒を作っておく/大会が近づくと、朗読や番組作りなどは時期が重なり、同時進行で関わる生徒が多くなる/年間の計画を立てて顧問も生徒も時間の使い方を考えて進行していくことが大事


取材については生徒が積極的にとはいっても最初の交渉などは顧問の方で相手方と詰める/生徒が集めてきた情報に対して、内容を深めるためのヒントや資料を提示し、さらに突っ込んだ調査をしたいという意欲を生徒に持たせる


放送部というのは読みの部分と番組制作の部分がある/役割が固定化してしまうと、全員が両方のスキルを身につけずにすんでしまう/顧問の役割はバランスの取れた役割分担、グループ分け/専門の放送家と違うのは、すべてが出来るということを生徒達にきちんと伝え、番組もやって読みもやって責任もって一つの番組を作り上げていくこと


個人で作品を作れる時代/何を伝えるために作るのかという所に顧問の指導が必要/放送活動を通して生徒を育てるのが目的であるから普遍的な価値を持った作品を作るように顧問の教育的視点が必要だ


また、放送部の活動は学校の外に出ることも多く、学校外の様々な方と接し取材をすることができる、お礼やあいさつなど社会性のある人間形成ができる/内外部で得た様々な情報をどのように組み立てて表現していけるか、将来、社会で活かせるような資質を養っていく


職員室との戦い/放送部というのは校内の唯一のマスコミ/放送設備を使うということに対して先生方からの抵抗があるみたいです/先生による伝達放送や呼び出し放送が日常化している学校がたくさんあると思います。その部分を放送部員による伝達放送に切り替えることが出来れば、生徒がいい生活を送れるのではないのか


生徒の活動をなるべく多くしていろいろな活動の場面を与えていくのが顧問の仕事/校内での教科的な発表会についても放送部に司会をさせてもらうとか地域の行事や団体のお手伝い、子供向けのイベントとかあったときも活躍の機会/その中で充実感を感じさせ、表現することの喜びを感じてもらい、自らを高め成長していくきっかけを作っていけるような活動


生徒だけではなくて顧問も目標となるような人を設定して自らを伸ばす努力が必要


【達成感が特効薬】

マニュアル通りの作業ばかりだと嫌になってしまう/放送部は運動部に比べて結果を残しても学校の中で評価されにくいということに対して、放送部の活動を先生方とか他の生徒に見てもらうことによって活動に誇りを持たせる/全校に認知されることが非常に重要


例えば、体育祭の実況中継や部活動紹介、コンテストで作った番組は必ず校内で流す/文化祭の時に運動部のPRビデオ、高総体などの記録を流す/運動部の生徒が自分達の活動が見られるということで楽しみにしてくれる/他の生徒たちにも好評


行事のセッティングとか司会を行うことで自分達がいなければ学校活動が立ちゆかないというような自負をもたせる/その上で責任感を持たせる


【他校との勉強会】

自校だけで練習しているとどうしても学校の傾倒に染まってしまう/県全体で勉強会があって学校を越えて指導/原稿のまとめ方、発声の仕方などそれぞれの顧問がブースをつくる/プロの方を呼んで目的を決めた研修もある


他校と合同練習をすることによって発声の基礎や日頃の練習方法についてメニューを交換/顧問もいっしょに学ぶ/それを持ち帰って、次の年にまた新しい練習方法があったらみんなに披露/いろいろな学校の生徒と交わることによってお互いに学び会う場をつくる


新しい顧問の先生にもどんどん大会に参加してもらい、他校の先生方の講評を聞いてもらって顧問の勉強会の場ともしている


【基本をどう教えるか 書くこと構成】

アナウンスは自分で原稿を作らなくてはならない/取材が出来ないとか、どんな題材を使えばいいのかとかノウハウについての指導/あたり前すぎて、ホントは凄いことなのに生徒が気づかない事例を気づかせる/普段からノートに思ったことを書かせる/部室内で話していることを作品づくりに役立てる/取材した題材はアナウンスだけではなくて番組にもつながる


自校ニュースを作って行くのですが文章を書く力が低下している/本は読めるがシナリオが書けない/3分間で起承転結を実況する練習/帰り道に3分間の実況中継をしてみる/そういったことを繰り返すことにより、人に伝えることまとめることを練習/それを文章に書き上げていく


コンテストのアナ朗のCDを真似させたり、ラジオ作品の原稿を起こすのも勉強になる


【校内放送は部活の基本】

昼の放送の内容として、例えば毎日変わる天気予報いれる/天気予報には数字が出てくるので、滑舌の練習にとてもなる/放送の中に必ず必要な情報を入れる、必要な情報があるからこそ全校の生徒が放送を聞いてくれる


校内放送は原稿作成の勉強にもなるし、自分の原稿が校内に伝わっているという喜びを感じて欲しい


毎日だと大変な場合は、例えば週に一回、番組を収録で流すとか/音楽だけ流す日があってもよい


リクエストについては、リレー形式で先生方のインタビューをしながら先生にリクエストをお願いしたり、部活のキャプテンに部活紹介もいれながらリクエストをもらったりすると放送そのものも活性化する


校内放送が勉強の邪魔になるという理由で制限を受けている/活動を続けるために例えば流す曲を歌無しのインストゥルメンタルだけにしたり/歌入りであったとしても校内ニュースのBGMにして静かに流すなどの工夫


講座2 実践発表

講師 兵庫県立小野高等学校 大江 真理 先生

わたしがここで発表させてもらうような価値があるとすなら、それは放送のことがすごく大好きで一生懸命やってきた、その中にはちょっと悔しいこともいっぱいあって、その悔しいことをなんとか、はね除けようと思って頑張ってきたということだと思います。


最初に放送に関わったのは高校生の時なんですけれども、小野高校が母校で、放送部に入ってすごく楽しく3年間やった覚えがあります。Nコンにもアナウンス部門に出たんですけど、最高が「地区大会佳作」という成績した。地区大会をぎりぎり抜けられないというのが「佳作」ということなので、全国大会はおろか、県大会にも行ったことがありません。作品の方もたいしたことなかったんですが、すごく楽しくて学校行事とか、お昼の放送だとか一所懸命やっていたんで、すごい胸張って言える活動だなと思っています。


教師になってからなんですけれど、地元でFM三木という局が、出来たときに市民のボランティアを募集しまして、原稿を読んでみたら、一番うまかったんですよ。ぜひ来てくださいという話しになって、開局の第一声を私がやりました。それから「ゆく年くる年」というのを生放送で4年間やりました。あと明石海峡大橋が開通したときに、橋を渡ってレポートしました。レギュラーも97年から5年半、毎週1回させてもらいました。


大学の時は放送をやってなかったので、教師になったときも最初は放送部の顧問をやろうとしたわけではありませんでした。社(やしろ)高校という所だったんですが、やっぱり放送室が気になるんですね。ちらちら放送室に行って、2年目から放送部の顧問にさしてもらいました。この4年間は全国出場はありません。地区大会を突破して県大会になんとか行ったくらいで終わりましたが、ここで火がついてしまいます。放送部楽しい、頑張ろうと思って次の学校に転勤しました。


次の学校が東播磨高校なんです。ここで放送頑張ろうと思ってめっちゃくちゃやる気満々で行ったら、最初の年は顧問にさしてもらえなかったんです。2年目からようやく顧問にしてもらえたんですけれども、部員少ないし、機材も前の社高校よりもない。


でもなんとか全国大会に行こうと思いましたが、兵庫県大会の壁がすっごい厚いんです。地区予選、準決勝、決勝と3回勝ち残らないといけないんですね。そこで僕が目を付けたのは研究発表、その当時5本行けたんですね。研発なら行けるかもしれない、「行けたらディズニーランド連れて行ってやるから」というのが合い言葉で、それで釣りました。顧問3年目で1994年に研究発表部門で初めて全国大会に来ました。嬉しかったです。NHKホールとかすごいと思いました。


ただこの年せっかくノリに乗って頑張ってきたんですけど、1年生が0だったんですよ。下の学年がいないと継承されないじゃないですか。で、どうしたかというと、朝のHRの前にこっそり1年生の教室を回り、宣伝をしました。めっちゃ恥ずかしかったんですけど、それで一人入りました。その子が声かけて最終的に6人くらいになりました。あれがなかったら、そこで終わっていたかもしれない。


次の目標は研究発表以外でも全国に来るということでしたが、1995年も研発しか来れませんでした。研発だけでも来れたら充分なんですけれども、「番組で来な、あかんで」という先輩もいらっしゃって、すごく悔しかったのを覚えています。96年にアナウンスとテレビドキュメントと研究発表と3つで全国に来ました。だんだんと増殖していっているのがわかると思います。1998年は、県大会で総合優勝というのを初めてでできました。甲子園の司会もさせていただきました。1999年にラジオドキュメントがラジオ第Ⅰ部門で「思い出の16小節」という作品で全国優勝しました。これは本当に「こんなうれしいこともあるんか」と思いました。「努力すれば報われる」、そのとき初めてそうなんだなと思いました。頑張ったなと思っていっぱい泣きました。東京から帰ってから校長に呼ばれて「お前の母校の小野高校が2年後に100周年を迎えるんでそっちに来うへんかという話しがあるが行けへんか」という話しで、ひがはり(東播磨高校)の放送部も優勝もしたし、次は母校を何とかしようかなと思いまして、小野高校にかわりました。


小野高校は自分の母校でもあり放送部はそこそこは活動してたんで、ずいぶんラクだったんですけれど、2000年というのはNコンの全国大会の枠がすごく少なかった年で、そこに転勤者が顧問ですとかなり苦しくて、今年は無理やなと諦めていたんですけれど、なんとか朗読とラジオドキュメントで全国に来ました。朗読は17年ぶりの全国でした。このころの問題というのはやる気の問題もあるし機材の問題もあるんですが、とりあえずやったのが最初に行ったときに、放送室はガラクタの機材と生徒の私物の山になっていまして、「4月から俺がここに来るからこれ全部片付けておけ」って言って、生徒は「なんか東播磨から怖い先生が来るみたいや、片付けんとかんとシバかれる」とかメールが回ったみたいで、片づいていました。でも機材は使える物がほとんどなくて、デッキも1台か2台くらいしかなくて、カメラもデジタルへの切り替えの時期で、8mmは1台あったんですけどパソコンもぜんぜんない。聞いてみると昼の放送はしていない、なんでかと聞くとこのガラスの向こうっかわのマイク端子が切れているというのです。それから「1年生の教室」というスイッチを押すと放送室にも放送が入る、だから1年生に放送できないんだというんですね。その日のうちに業者に電話をかけて全部修理してもらいました。部費とか顧問の先生がこつこつと貯めておられた旅費で、デッキとかとりあえず必要な物を始業式までに揃えました。カメラとかは、自分もOBの強みで、OBを集めまして寄付を集めてパソコンを購入して、1年くらいでなんとか編集できるような機材を揃えました。


3年目の2002年に兵庫県で総合優勝ができ、朗読で全国優勝しました。彼は今テレビ朝日のアナウンサーをしています。2004年にテレビドラマで優勝しまして、昨年テレビドラマとラジオドラマ、今年ラジオドラマで優勝させていただいて、ま何回も優勝していると最初の感激はないんじゃないかと言われるんですけど、そんなことないです。優勝したらホントうれしい。それまでには当然苦労があるんですけどもそんなのはぶっ飛ぶくらいうれしいです。ホントありがとうございます。


ここでVTR視聴:関西で放送されている「ちちんぷいぷい」という番組で、小野高校放送部が取材されているのですが、逆にキャスターが小野高校のお昼の放送にゲスト出演するという形になっています。お昼の放送は、視聴覚教室で公開番組のようにして放送していて、放送室の様子や活気ある部員達が撮され、最後は部員による校歌の生合唱という番組でした。


それでは、日頃行っていることを話していきます。


1つは学校行事で目立たさせること。わたしが行くまではどうしても裏方ばっかりやったんですけども、放送部も出方があるのではないかと目立たせる。


2つ目は地域のイベントなど校外でも活躍のチャンスを増やすこと。アナウンスの練習、原稿をしっかり練習することはもちろん大事なんですけど、原稿を読むだけではなく、行事の司会などを任せ「せなまずいかな」という止むに止まれない情況をどんどん作って行く。


3番目は番組制作はドキュメントをたくさん作って競争させる。たまたまドラマ部門で優勝を戴いたので小野高校はドラマが得意なのかと思われているかもしれないですけども、小野高校はドラマよりもドキュメントを重視しています


1つ目の学校行事なんですけども、小野高校の「オープンハイスクール(学校説明会)」は放送部のためにあります。中学生が集まってくると放送部が司会で「みなさんこんにちは」と始まります。標準語で話しますと中学生がパッと顔を見ます。じゃあ学校紹介ビデオ見てくださいって上映が始まるとまた放送部が出てきます。終わって「あとは部活動を見学してください」と回りますとビラを撒きながら連行します。訳のわからんうちに放送室に連れてこられて、放送部の宣伝ビデオを見せられて洗礼を受けて帰るということをやっています


文化祭は前の一列が全部放送席で占領しています。マイクミキサー、映像、テロップとか録画部門をおいて常時中継映像をスクリーンに投影しています。ダンスなどでメインのスクリーンが使えないときはサブスクリーンに映像を映して曲目などをテロップで出すとしています。


肝心の放送部の発表なんですけれども、わたしが行ったときには教室でやっていました。ステージでやりたいということで次の年から20分だけ時間をもらってコンテストで作ったドキュメント番組と文化祭用のバラエティー番組を作って2本流しました。次の年から3本にして、今は5本にしちゃっています。このバラエティー番組が人気で、先生とかに登場してもらって笑いを取るんですけど、客席で感想をレポートをして、それをビデオカメラで撮したやつを前に投影してるんですけど、新入生がこれでびっくりします。「テレビ局みたい」とか言って、これで入ってくれる子もいたりします。


卒業式も、3カメで撮して収録しています。


2つ目の校外のイベント。インターハイの司会、全国の珠算大会の司会、FM・ケーブルテレビに出演、地元のお祭りの司会、バスガイド、地元の中学校に話し方講座をしに行ったり、国体の時にインターネット中継のお手伝い、放送局に行って遊んだりとかいろいろな機会をつくっています。大変だろうと言われるんですけど、自分もいっしょに楽しんでますのであまり苦にはしていません。


それ以外の活動としては「定期作品発表会」といって毎年1月3日、保護者の方とかOB、OGを集めてその前の年に作った作品を見てもらう会をやっています。これはどういう効果があるんかというと、保護者の方には放送部というのは何をやっているのかわからない、帰ってくるのだけやたら遅いという苦情があったりするんですが、これ来て見てもらうと、なるほどとあんな作品作るのやったらそれは大変ややろなと理解を得られたりしています。番組の上映とかライブでDJやったり、OB・OGも参加OKで他校生もOKです。アナウンスも朗読もごちゃ混ぜで誰が一番上手いかというのをやります。先ほどを紹介したアナウンサーをしている彼は3回優勝しました。もう君は出てはあかんと言いました。


あと、うちの庭で年2回バーベキューをやっています。高校野球の司会もさしてもらってます。


3つ目の番組の方ですが、NHK杯に毎年フルエントリーしています。まあ人数が多いんで出来るんかと思いますけれども、3年生に4本作らし2年生に4本作らせて、あとラジオドラマを1年生に2,3本作らせて、この中から一番いいやつを1本出すということでフルエントリーしています。


県の総文祭でも、2年生と1年生にそれぞれ1本ずつ作らせて校内予選をして勝った方を出すという風にしています。他校もライバルなのですが、学校内でも競争しているので手が抜けないんです。


2000年の4月に就任してからこの11月までにちょっと数えたのですけどDJも含めたラジオ番組は90本くらいになります。取材の中で結構有名人に出逢うことがありまして、生徒も喜んでいますが顧問が一番喜んでいるんです。いろんな人に出逢えたりするのはすごい楽しいので、またやる気になります。


生徒はおかげさまで頑張ってます。途中でやっぱりうまくいかなくて悔しいこともいっぱいあったんですけど、それをなんとか克服して「放送部がすごいんや」ということを先生方とか他の生徒にも見せたいと思って、今まで頑張ってきました。このあともまた頑張りたいと思いますのでまだまだ未熟ですけれども先生方今後もご指導引き続きよろしくお願いします。ありがとうございました。


講座3 「アナウンス・朗読の指導法」

講師 NHKアナウンス室次長 渡部 英美 先生

昨年に引き続き、今年もアナウンス・朗読の基本的な姿勢から指導法のヒントまでたくさんのことをお話し頂きました。以下、お話し頂いた要点です。


  • 伝える姿勢が大事である。相手に向かって伝える、伝えるベクトルが大切である。
  • 視聴者は誰かを考える。
  • ホスピタリティとサービス精神が大事。

〔アナウンス〕
  • 原稿で骨格が決まる。独自のネタ、スクープを取ろう。ネタ・文章の構造・言葉の使い方が大事。

《実践練習編》原稿黙読→読む→「現場からの中継」で


*これは実際に参加者から代表の方に体験して頂きました。「現場からの中継」というイメージができた途端、語りかけが激変したことが実証されました。


伝え方の工夫として、イメージトレーニングが大事であることを実感しました。


(例)現場からリポートしてみよう。君は今どこに立っているか?
何度練習しても新鮮に伝えられる工夫が大切である、というヒントも頂きました。


〔朗読〕
  • 朗読の成功体験を持つことが大切である。読みたい作品やシーンを選んで発表してみよう。語る喜び、聴く幸せを体験しよう。
  • この作品のどこに惚れ込んだか、伝えたい「心」はどこにあるか。
  • 伝えようとすると間があく。聞き手のために読もう。
  • 作品全体を音読してみよう。意味が分かって、そう思って読んでいくことが大事。

なお、この講座で使用したパワーポイントのデータは今年のコンテスト第56回大会報告号(コンテスト参加校と都道府県担当者に配布)にも収められています。ぜひご覧下さい。


講座4 「高校生とドラマ」

講師 脚本家・作家 竹内 日出男 先生

まずは「企画」について。単なる常識的なものではなく、何か新しいもの(工夫)があるといいです。今年の作品で例をあげると、転校もので、今までは転校される側からのドラマがほとんどだったが、転校する側からの心理描写を扱っていました。顧問の役割は、生徒のもっているみずみずしい感性を充分発揮させるプロデューサーです。作品制作に最初からこうやるとうまくいくという特効薬はありません。アイデアを生徒全員から出してもらって、知恵だし大会を開きましょう。このとき変なものが出ても切り捨てないでおくと、後で役に立つことがあります。そして、制作意図を短い文章にしてみんなに配って共有化します。この制作意図は大テーマでくくらないようにします。「友情は大事だ」とか「命は大事だ」ではなく、細かい具体的なそして独自性のある内容にします。そして制作では生徒一人をリーダーにし、他のメンバーにも役割をもたせてチームとしてまとめます。


次に「手法」について。これも独自性が出せるよう工夫しましょう。今年の映像のいい例は、松山南の「ねえちゃん」。主人公が小学生時代に姉のことで同級生からいじめを受けるシーンを、広い校庭の地面に映る影で表現してましたね。全体的に映像の作りはうまいのですが、音声の作りはいまひとつです。音声作りのアドバイスを箇条書きにすると‥


  • ラジオドラマの音に陰影をつけましょう。

マイクロホンと人との距離を変えて、音の場を作る。マイクロホンのオン・オフを使い分けること。効果音にもオン・オフを使い分ける。外出録音では、オン・オフの最低2つは録る。


  • ラジオドラマは、マイクロホンの芝居です。

マイクロホンに対して半身になって立つ。芝居は体でやるので、台本は片手に持って体を自由に動かすようにして体の動きのあるセリフを録る。強い声は、大声でわめかないで声を抑えて強く出すように。心の中を表現するときは、マイクロホンに寄って(なめるくらいに)しゃべる。演技をするには息を使うこと。息が大事。老人の声は、禁煙パイプをくわえてしゃべるといい。


効果音・BGMも工夫をすること


BGMはただ流すのではく、音量に気をつける。効果音も登場人物の心情が出るように工夫しよう。例えばドアの音。どういう気持ちでドアを開けるのか。


耳を敏感にして音を録りましょう。これはラジオだけでなくテレビもそうです。そして、作り終わって「やったぜー!」と思えるような作品を作ってください。


講座5 「アナウンス・朗読 模擬審査」

講師 NHK日本語センターエグゼクティブアナウンサー 榊 寿之 先生

アナウンス・朗読の審査の観点を、実際の審査体験を通して学んでいただく講座です。


はじめに56回大会の準決勝進出者の中から選んだ4名のアナウンスを会場のみなさんに審査していただき、集計結果が出るまで、グループごとに討議していただきました。会場の平均点、会場の最高、最低点、そして榊先生の点数、最後にコンテストでの点数をご覧いただき、その結果を受けて榊先生に解説、ご指導していただきました。一人一人についても、原稿に即して明確に審査すべき観点を挙げていただきました。このあと、朗読についても同じような流れで行いました。


アナウンスについて榊先生にご指導いただいたのは次のような点でした。まず、いかに内容が、感じよく伝わるか、という点を強調されました。感じよく伝わるためには、いたずらに声を張り上げるのではなく自然に語りかけることが大切だということです。


具体的な視点については、次のような点です。


  • 情報性の高い言葉(=キーワード)がしっかり意識をもって表現されているか(テンポの工夫など)。特に名詞については情報の中心であることが多いので注意を払うことが大切。
  • 伝わるための間がきちんとあるか。
  • 表現がパターン化していないか。
  • 普段高校生が用いないような表現が使われていないか。(時には摩擦感のある引っかかりのある言葉を使うのも効果的な時もあるが・・)
  • 会話文の終助詞(ね・さ・よ等)が不自然ではないか。

朗読については、まずは、どこを切り取るかが大切だというお話から始まりました。場面がよくわかるところを選ぶことが肝要で、会話文が適度に含まれている方が情景が伝わりやすいとのアドバイスもいただきました。


その他の具体的な視点については次のような点です。


  • 原稿の長さは適切か。詰め込みすぎにならないように、量に気をつける。詰め込みすぎると立つべき言葉が立たなくなる。
  • フレーズの中で、どこが伝えるべき中心かを見定めているか。付属語に力が入ることが多い。助詞などの脇役は控えめに。でも飲み込んでもいけない。
  • 名詞が自然に読めているか。特に複合名詞の後半部がうねる傾向がある。単語は普通に言えた時、はじめて伝わる。日常的にトレーニングするとよい。横断歩道 東海道新幹線 農林水産省 掛け時計・・・など様々な複合名詞をうねらずに音にする。それを聞き分ける耳も鍛えてほしい。
  • 文頭や、フレーズの頭をスピーディーによみ、後ろの間がのびてしまう「前のめりの読み」にも注意。文の入りはゆっくり。
  • 息を使って、それに音を乗せていく発声ができているか。声がいいとそれを響かせてしまう傾向がある。息を使う感覚をつかむには、あくびをする時の喉の状態で声を出す。自然に腹式呼吸も身に付く。
  • 地の文の読み方が適切か。主人公に寄り添うものなのか、そうでない客観的なものなのか、見ているポジションを意識して、読み分けて、同じに読まない工夫を心掛ける。自分勝手な読みは禁物。あくまでも文意に忠実に。

古典作品の朗読についても触れていただきました。


古典だからといって特有の読み(リズムや節など)を意識するのではなく、文意を伝えることを大切にしてほしいとアドバイスいただきました。「枕草子」であれば、清少納言の独自の感性が輝く作品であることをまず意識します。その上で、それが伝わるにはどのような読みがふさわしいかと考えることが大切、とお話しいただきました。


榊先生は、グループ討議の間も会場をまわって、討議の内容に耳を傾けてくださり、各グループの疑問を吸い上げてお話くださいました。幅広いアナウンス、朗読のご指導経験から、審査の観点のみならず、指導に役立つ貴重なお話を数多くいただくことができました。


講座6 「ラジオ・ドキュメント模擬審査」

講師 NHK制作局第1制作センター 青少年・教育番組部 チーフプロデューサー 市谷 壮 先生

今回は、57回大会からのメディア変更を受けて、まず、提出用CDやDVDの作成に関する解説があり、その後、模擬審査に移りました。


今年も前回に引き続きラジオ・ドキュメントの模擬審査を行いました。作品は、第56回大会で準決勝に進出した中の5本。参加者が各自採点した後に、グループ毎に30分間討議。グループ毎に1位~3位までを決めてもらいました。その間に、回収した採点用紙を集計。各グループからの発表と集計結果・大会時の各作品の平均点を受けて、市谷先生から講評をいただきました。今回も、会場の結果・大会時の平均点と、市谷先生の採点とでは、大きく異なる作品があり、審査の難しさが浮き彫りになりました。


一つの傾向として、参加者の多くは、ドキュメンタリー作品にはっきりとしたメッセージ性を強く求めた面があったようです。それに対して市谷先生からは、娯楽色の強い作品も「楽しい時間を過ごすのは大切なこと」というメッセージになっている、という指摘がありました。また、作品の主人公を誰にするか、どこに視点をおくかを、よく検討した方がよいという指摘がありました。そして、市谷先生が、今回試聴した中でもっとも評価した作品について、その理由として、「作品に希望がある」「知らないことを知ることができた」「対象者との信頼関係を築いて、具体的な証言をとることができた」という点が挙げられました。


講評の後、市谷先生から、「ドキュメンタリーとは何か」という話題が出されましたが、それによると「番組にはジャーナリズムと演出が常に混在しているもので、その中でジャーナリズムの比率の高い番組がドキュメントと呼ばれることは多いが、グラデーションのどこからをそう呼ぶかを決めることは難しい」とのことでした。そして、「Nコンの場合、創作ドラマを除くすべて、と考えてみてはどうか」という提案がありました。


講座7 「ラジオ・ドキュメント制作講習」

講師 NHK制作局第1制作センター 青少年・教育番組部 チーフプロデューサー 市谷 壮 先生

今回は、特に「取材」について講義していただきました。以下に、簡単に整理しておきます。


Ⅰ取材の基本


(1)番組作りの基本は取材

  • (ア)ドキュメントは取材で得られた情報で作る。
  • (イ)つまらない番組やわかりにくい番組は、取材不足。
  • (ウ)ドラマや芸能番組にも取材は必要。

(2)相手に会って話を聞く。

  • (ア)直接会わない取材では、情報の質が低くなる。
  • (イ)新聞、雑誌、書籍、ネットなどで調べるのは、「資料収集」。
  • (ウ)会って話を聞くと、その人にまとわりついている空気を感じる。

(3)必ずアポを取る。

  • (ア)相手の都合に合わせる。
  • (イ)相手のホームグラウンドを訪ねる。
  • (ウ)相手が来訪を嫌がる場合には無理強いしない。

(4)取材前の準備

  • (ア)失礼のないように、相手のことを、できるだけ調べておく。
  • (イ)質問を整理し、簡潔な口語文にまとめておく。
  • (ウ)質問の順番・優先順位を決めておく。

(5)取材の進め方

  • (ア)まず「自己紹介」、次に「取材の目的」。
  • (イ)事前に考えた質問を一通りするか、深められそうな答えに出会ったらその都度掘り下げるか、臨機応変に。
  • (ウ)相手の答えを自分が理解しきるまで、次の質問に進まない。
  • (エ)相手の気持ちを考える。
  • (オ)もらえる資料は遠慮しないでもらう。

(6)メモをとる。

  • (ア)自分のメモがメインメモリー。
  • (イ)相手の了解があれば、録音・録画もした方がよいが、それはあくまでもバックアップ。
  • (ウ)数字は正確に。
  • (エ)取材ノートを作る。1枚紙のメモは厳禁。

(7)取材の整理

  • (ア)その日のうちに整理する。
  • (イ)書式やファイル名のルールを決めて、文書データ化し蓄積する。
  • (ウ)日時、場所、取材対象、取材者は必ず記録する。

Ⅱ番組作りのプロセスと取材


(1)番組作りのプロセス

  • テーマを探す  企画作り
  • テーマを決める 企画採択
  • テーマを深める (事前)取材
  • 番組の形を作る 構成/台本作成
  • 素材を集める  撮影/録音
  • 番組にまとめる 編集
  • 完成後の作業  後処理

(2)企画作りの取材

  • 新聞を読む。
  • 引っかかった中に会えそうな人がいたら、連絡を取ってみる。
  • 集めた情報の中から次の取材先を探して取材の範囲を広げる。

(3)テーマを決めるときの取材

  • 集めた情報を一覧にして、長所・短所を比較する。
  • テーマありきではなく、取材時の印象や手応えを大切にする。
  • ウラをとる。

(4)テーマを深めるときの取材

  • キーになる人を見つけて、芋蔓式にいろいろな人に会う。
  • キーになる人と、番組で取り上げる人とは違うことが多い。
  • 大事な人には、相手の都合を尊重しながら何度も会う。

(5)撮影・録音

  • この段階が、本当の「取材」。
  • 「その場の真実」を大切に。
  • 構成、台本を頭の中に置きつつ、冷静かつ臨機応変に。
  • 「臨機応変」と「準備なきアドリブ」を混同しない。

(6)編集時の取材

  • 必ず足りない部分や曖昧な部分が見つかるので、追加取材、撮影、録音をする。
  • 事前の想定と取材結果が違う場合、取材結果を優先。
  • 構成、台本、結論ありきの編集は絶対にしない。

(7)完成後の作業

  • お世話になった人全員に、お礼をかねて完成報告。
  • 借りたものは必ず返す。
  • 撮影、録音したけれど編集で落とした場合は、経過を説明。
  • 可能な範囲で、完成した番組を渡し、感想を聞く。取材に沿って丁寧に作った番組なら、たいていほめてもらえて、次の番組作りへのモチベーションにつながる。

Ⅲまとめに変えて


  1. 番組の質は「取材の厚さ」で決まる。
  2. 演出のアイデアも取材から生まれる。
  3. 取材に近道なし。
  4. 生活態度がそのまま相手に伝わる。
  5. 日頃のインプットが基礎体力になる。

参考図書として以下の書籍が紹介されました。
» 山登義明「テレビ制作入門」平凡社新書(絶版)
» 山登義明「ドキュメンタリーを作る」京都大学学術出版会
「テレビ制作入門」は絶版ですが、ネットなどで手に入る可能性があるそうです。


最後に、会場からの質問に答える形で、以下のことをお話していただきました。

  • A) 戦争や障害者、あるいは差別といったものを題材にした番組を審査する際、NHKの番組制作者はかつて自分が手痛い失敗を経験しているので、高校生がその轍を踏むことがないようにと意識することがあるということ。
  • B) 番組は、その長さにかかわらず番組の過程で語るものが大切で、強いて結論を出す必要はない。
  • C) 番組の最初には、集まった材料の中でもっとも面白いものを持ってくる。
  • D) 顧問は、広い視野から生徒にダメ出しをするプロデューサーの立場にいるのがよいのではないか。
  • E) アニメーション監督・神山健治さんの著書の中に、「映画は疑問と解答の繰り返し」とあるが、番組の構成もそのように考えてはどうか。
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