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イベント情報

「NHK介護百人一首2019」作品紹介

「NHK介護百人一首2019」へのたくさんのご応募ありがとうございました。
寄せられた短歌9,917首の中から選定された100首をご紹介します。
掲載内容は平成30年12月時点の情報に基づいています。

作品検索

作者一覧

安木澤 修一(ペンネーム)
たとへ身は介護の中にあらうとも「心の介護」してくれる母


跡部 菜々穂
「物足りねぇ」リハビリこなす九十歳既にばててる十八歳


阿部 しずり
黒のダウン白い帽子とロングブーツ車椅子乗る母女ボスのよう


阿部 風子(ペンネーム)
いつになく良く見良く食べ良く眠り顔施(がんせ)残して父待つもとへ


新井 日陽李
船乗りの息子のものよ腕時計おばあちゃんには少し大きめ
伊川 宝
心音の機械の線が真(ま)っ直(す)ぐになるそして最後はピーと鳴ったよ


一井 智子
避難時に消防団員抱えられ体重減らさねとダイエット中


井上 威一郎
介護度が下がり喜ぶ父を見てサービス下がり複雑な子ら


井上 美津子
メモ紙に「ゲンパクノヒ」と母の文字覚えておきたくて書いたんだね


猪俣 三郎
「死にたいよ。迷惑だろう」「馬鹿言うな」諭す言葉もつい涙声


今津 茂
勝負服勝負パンツに身を固め口紅点(さ)してデイサービスデビュー


岩本 豊子
声のなき四人の老いの臥(ふ)す部屋に母の酸素の音のみ響く
内田 久江
茶碗(ちゃわん)まで重くなるとはなさけない夫(つま)の弱音のひと言かなし
大久保 アヤ子
三姉妹卒寿米寿喜寿合言葉段差にころぶな百歳めざせ


大蔵 由美
「ああ暑い!」すっぽんぽんで涼んでるアルツハイマー怖いものなし


大塚 かをる
白内障治してリアル玉手箱開けたごとくに娘老けたり


大宮 龍生
歩く祖父手を借す僕にこう言った少し前まで逆だったよな


小澤 俊彦
杖(つえ)の音シンコペーション刻みつつ母を後から看(み)つつ行く父


尾上 重利
付き添いの妻の寝息と虫の声暫(しば)し得難い平穏の時間(とき)
海原 稜太
この夏は越せそうもないとおばあちゃん大丈夫だよ毎年言ってる


門川 幸枝
遺言と延命治療拒否願い書き終えようやく安らぎを得ぬ


金武 隆
か細くて杖にならぬと思ってた妻の支えで上がる階段


上島 璃美
デイケアのドライバーさんはさりげなく花の下(もと)では徐行してくれぬ


川北 麗子
ちりめんのお手玉三つ手にのせて遠き記憶としばし遊びぬ


神﨑 蘭子
大雨も雷の音も聞こえずに深海の底に独り居る母
木村 結
私見てかわいいと言うおばあちゃんそんなあなたの笑顔がかわいい
兒玉 和子
振り向けばふらつきながら踵(かかと)あげ見えなくなるまで手を振る母よ


小寺 里奈
夏の空涼しい顔のおばあちゃん凛(りん)とした笑み午後のひまわり


後藤 俊子
転倒しこれがこの世の見納めと覚悟をきめし百二歳の夏


後藤 涼子
亡き祖父を甲羅の如(ごと)く背負う母胸に刻みて介護の道往(ゆ)く


小西 春見
パーキンソン病む夫(つま)の手にやさしかり白南天の開運の箸


小松 紀子
ブラウスも麻の帽子も藤色でふんわり笑った晩年の母
坂井 貴美子
「あなたには未練はあるが先に逝く」コーヒーの湯気の向こうでいう夫(つま)


佐久間 和子
老健に入りたる吾(われ)にも青春はあったと薔薇(ばら)のセーターを着る


佐々木 君江
その日にはおまへはこれを妹はあれをと喪服の手配せし母


佐々木 英明
同僚に話していない妻のこと夜は介護さ飲み会つらし


笹村 敏枝
デイケアに出かける際は車いす帰る際にはスタスタ独歩


佐治 勢津子
タタダダダネギ刻む音早くなり目に染みたわとああこれ便利!


佐藤 チズコ
部屋の外風に揺れてる木を見れば我が家の木々は「元気?」気になる


佐藤 瞳
「介護職?給料安いし大変よ?」そんなの知るか!私の夢だ!


佐野 利典
拭き方で分かると言はれ一息をととのえながらお尻やさしく
志堅原 喜代子
来いよとも帰るなとも言えぬ夫(つま)まなざし交わし施設出(い)で来ぬ


島田 はるか
祖父が呼ぶだけどもそれは猫の名で私の名ではありませんけど


下田尾 三乃
餌買いに「ちょこっとそこまで」三時間あなたの時計はダリの御下がり
杉本 千枝子
無理しなや孫のひと言嬉(うれ)しくて大きめのカツ一枚揚げる


鈴木 重光
昔日の仕返しすると言う妻に夜中も手を借る我が身切なき


鈴木 茂
訪問時の笑顔次第に消えゆきて他人見る目になるを恐るる


住友 亜美
携帯の待ち受け変えてと頼む祖母写真を見れば笑顔の祖父母
髙田 勇
ラグビーの笛にて妻はわれを呼ぶわれの介護にノーサイドなし


髙橋 千世子
居るだけでただ居るだけで安心な夫(つま)という名の不思議な力


高橋 夏葉
仏壇のそばから動かぬおじいちゃんふたりの時間過ごしているのか


谷 堯子
リウマチの指で無音の拍手する祈りのように感謝の形


谷本 二三子
五七五を右手で数え七七は左手でする短歌体操


田畑 貴広
戦友と僕を間違え笑みこぼす祖父は自由な刻(とき)の旅人


玉木 俊也
逝く直前悲しむ親族チラ見して「心配ないよ」と万歳する祖母


田村 比菜里
修学旅行みんなで押した車いす汗いっぱいで沖縄巡る
茅野 かよ子
野沢菜を漬けむと桶(おけ)に水を張り届くはず無きお菜(は)を待つ叔母


TRAN THI THUY
日本来て介護の事を勉強したくさん笑いたくさん泣いた
寺谷 恵
ありがとね私あんたが大好きや言ったあとすぐにあんたは誰や


寺本 鉄男
はい右手妻の爪切る難しさ小指の細さにしばし見とれる
東城 みのり
ひまわりの塗り絵仕上げる指先に指輪の光る百歳の媼(おうな)


富田 洋子
定位置にひと日を過ごす母のため折おり訪ね笑わせてくる


鳥越 光世
取り寄せた介護寝巻きの色違い母に似合いの紫陽花(あじさい)の咲く
中西 純子
デイケアへ夫(つま)を送りてフレンチを罪の意識の少しするなり


中山 くに子
明け方の床にするりとすべり来る夫(つま)亡き後の主役の猫が
新倉 正成
デイケアに行く妻今朝のブラウスに海とヨットとカモメの刺しゅう


新納 玲子
病室はゆっくり歩めと戒める夫(つま)のうるさきことの嬉しき


西川 伸子
かけ違う夫の釦(ボタン)いつかまた我もするかも黙って直す
根本 久美子
車いす押されていくも恥ずかしく挨拶されてもつい下を向く
濱 守
満開の庭の桜を見せたくて妻のベッドを窓際に寄す


濱田 道子
大好きと書けば夫の頷(うなず)きぬ看取りの或(あ)る日救いとなりぬ
平山 由紀子
母のため付けし手摺(てすり)は吾(わ)がために二度のお務め寄り添いくれぬ
福沢 節子
特養の引出し開ければ下着ゴッソリそのうち洗うつもりの母よ


福重 利子
介護うけ母のポツリとあんたには誰がするかねこねいな事まで


福田 淑子
背を曲げて息切れ切れに一匙(ひとさじ)の粥(かゆ)をいただく老いの荘厳


藤本 幸雄
「あんたにはほんまにええ世話してもろた」嫁嫌いの母に言わしめし妻


古屋 一雄
横断の歩行をためらうおばあさん手を挙げ渡れば「あんたうまいね」
堀 眞希
オムツ替えもの言わぬ人の慟哭(どうこく)は眉間の丘の小さな動きに


堀野 慎吉
忘れずに「十九の春」を口ずさむ母の中(うち)なるはるか青春
町田 春子
杖ついて遠くなったよこの家が回覧たずさえお向いの姑(ひと)


松谷 粂子
要介護「四」を枕に不貞寝(ふてね)すりゃ踏ん切りついた仕方ないもの


間野 智也子
帰り際欲しいものはと問う我に命が欲しいと遠くを見る父
三浦 善隆
祭り笛のように口笛耳たぶに吹けば母の手わずかに動く


三澤 潤司
「台風がいくつ来たね?」と心配し稲穂見る目はまだまだ現役


水野 都美子
デイに来て旧姓で名を書き母は言うこんな時しか書けれんがねと


三井 光子
失明し息子に引かれ愛らしき幼子の手が大人になって


三橋 昭子
とりいだし読み返してはまた仕舞うひらがなばかりの母の手紙よ


宮川 美代子
目ざめれば痛き痺(しび)れも目をさます夫の作る味噌汁(みそしる)が匂ふ
村上 昭一
卒寿われ料理テキスト立ち読めば振り返り見る人のありけり
森 次郎
もめごとは一応抜いて試してサヤ納め早目の詫(わ)びがわが処世術


森井 セツ
眠る如穏やかなりし夫(つま)に言ふ「私の涙飲んで」と唇に塗り


森田 紀代子
もしかして汚水の中で笑ってた?見なくて良かったこの世の地獄


森田 満子
こうなったらギネスに載るまで働こうオールドヘルパー吾今日も行く
矢作 ゆかり
手作りのバス停に待つ母の目に故郷(ふるさと)へ行く道は映らむ


山本 アサコ
寝たきりの夫(つれ)は天井見るばかり箸持ち食べよ夢も掴(つか)めよ


山本 庸雄
面白きこともあるらむ百歳の壁を目指して検診にゆく


山本 光範
介護ロボ見つつ思うはせめてもの両手だけでも温かくして
吉田 昇
デイケアのチイチイパッパに馴染(なじ)めずに群れを離れてひとり本読む


𠮷藤 純子
どんぐりを入院の母に握らせて秋と告げたり伯母亡きことも
渡邊 マサ子
歳(とし)重ねもうこの辺でという私なお元気でという家族たち

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