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NHK杯全国高校放送コンテスト

校内放送指導者講座 報告



平成22年12月26日(日)、27日(月)の2日間、東京の千代田放送会館で、全国放送教育研究会連盟・日本放送協会主催、日本放送教育協会共催による「第33回校内放送指導者講座」が開かれました。全国から120人の先生が参加され各講座で熱心な研修が行われました。


■目的

高等学校における校内放送活動の意義と役割を確かめ、その指導についての諸課題を究明するとともに、具体的な指導の充実を図ります。


■対象

(1) 放送部(委員会)の指導にあたる者。
(2) 各都道府県コンテスト担当者および放送コンテストの審査にあたる者。


■講座一覧


■講座ごとの内容(概要)


講座1 顧問交流

参加の先生方が、9人から12人の12班に分かれ、日頃の指導の悩みや疑問と、具体的な解決策について意見交換を行いました。


【普段どのような練習・活動をしているか】

普段は発声練習がメイン。

曜日の担当者がお昼の放送を作る(録音)。

吹奏楽定期演奏会の司会などをしている。

夏には学校説明会のビデオ作成など。

5月と8月に全県下の生徒を集めた講習会を実施している。

聖書朗読や朝の放送を生放送で行っている。原稿は30分前に渡す。

学期ごとにオーディションをして担当者を決めている。

冬は暇なので、アナウンス発表会を行っている。テーマは、部活紹介や友達の友達紹介などで、取材と原稿制作を訓練している。

1月にジュニア大会朗1、アナ2名の大会がある

基本的にNコン、新人戦にあわせた活動。

年3回のコンテスト参加と、大きな学校行事3回の司会などに向けた練習。

大会や行事が終わると練習しなくなるのが課題。年間通しての指導を考えている。

校内放送のみで満足し、大会へ向けての練習をする雰囲気ではない

校内放送が基本。日常の積み重ねがコンテストにつながる

休日はFM群馬でのパーソナリティとしての活動もしている。

朝20分の礼拝の賛美歌が発声練習の一助となっている。

国語の先生にお願いして、授業での音読をしてもらっている。

発声はほぼ毎日1時間。声ができていないと、その上の表現も指導できない。

お昼の校内放送のために、400字程度の原稿を毎日書かせている。

前日に取材したものを、顧問が添削をして、読ませている。

午前中に1時間、または夜にメールで添削など。

生放送で度胸がつく。朗読の読みは長崎の指導の課題。学校のイベントが多い。

全校集会やオープンスクール、体育系の大会、地域のコンサートの司会など、活躍の場は多い。

学校行事のほか、高体連の大会や学校紹介ビデオの制作なども行っている。

部員4人 昼の放送(20分)、学園祭の音響

体育行事の進行等、図書紹介

過去の大会の原稿を読む練習

番組編集や企画。校内放送の取材

校内LANを活用した新しい校内放送(作品を見たいときに見られる)

学園祭で、ミニFMを流すと生徒は寄ってくる

部活のCMを作り新歓で流す

1月から毎週違うテーマによる原稿作成をさせて、発表会を行う。審査もする。

生徒会の機材のセッティングがスタート。最近コンテストに出場するようになった

機材のない中で部活動を立ち上げた。機材はすべて私物。自分が転勤したあとできるのはアナウンスと朗読。

だからアナ朗は取り組まないといけないと言って指導している

どの生徒にもアナウンス、朗読を経験させている

委員会の生徒にNコンへの参加を呼びかけ、5名が参加。愛好会に発展した。

朝、職員朝礼があるときに、会議室以外に生徒が放送をしている。

顧問がいなくても自分たちの自覚でもって朝早く来て放送できるようになった。(6年目にして)

放送部にやらせた方がいいのではないかということを、先生方に思わせることが大事

校内行事の司会などを積極的にやったら、生徒会の方からこういう放送をやりたいんだけどという相談があり機運が盛り上がってきている

校内の司会など一生懸命やっていると、地域からの依頼もくるようになる

先生方や周りから頼まれると生徒たちのモチベーションも上がる

コンテストで認められることも大事だが、日々の校内放送を校内で役に立つ活動を充実させることが大事。日々の活動をコンテストにつなげ、コンテストを日々の活動につなげる。校内で週1回のテレビ放送を22年続けた。映像部の生徒達に最初は1週間かけてこの活動をすることを説得した。最後には生徒達の方から面白そうじゃないかと言ってきた。校内放送活動を充実させることは時間のかかること。校内放送が変わる、校内に生徒達の声が聞こえるということは、学校が変わるということ、先生たちがやたらと前に出てくることのない民主的な学校の姿がそこにある。

活動のペース

放課後毎日。大会前は夜遅くまで活動

文化部の活動日が決められており、火、木に活動。発声練習は今年から活動は火、金、大会前は朝練も実施

金曜日のみ放課後集合をかける。他の日は自由参加

進学校で、金曜日の放課後のみ活動時間が確保されている


【お昼の校内放送について】

どんな方法で行っているか

  • 10分くらい 校内の各部活動の試合にについて お天気 占いランキング クイズなど顧問が原稿準備
  • 今日の話題 好きな曲1曲 その日の天気にからんだこと 午後の行事にからんだことをコメント
  • 週1回金曜日 番組として作り込んだもの アンケート結果など
  • リクエスト曲を流す 学校行事、季節にからんだアナウンス
  • 出来上がったものを流す インフルエンザ等についてのインタヴュー
  • 生放送ではなく、録音したものを放送している。10分程度。
  • 月~金 15分~20分
    5人くらいで、メインの司会が番組をひっぱる(DJ形式)
    天気予報や占い、アナウンス原稿など各コーナーに担当を分ける
  • 生徒が書いた原稿を流すため、週1回が限界
  • 行事のまとめ
  • 電子掲示板に学校行事をまとめたものを流す
  • 生徒会行事、大会の結果のインタヴュー 週1回
  • 朝の放送朝礼で放送
  • 頭と最後は生でしゃべる
  • テレビ放送を行っている。ニュース映像は流さず、アナウンサーとパワーポイントの画面を切り替えながら放送
  • 部活動紹介、友達の友達、先生の紹介、学校から半径5km以内の情報(Nコンに使えるネタになることもある)
  • インタビューを録音して、そのまま流す。生徒や先生方の声が流れるのも、生徒が喜ぶ
  • 部活動の大会や練習試合の結果などを流す
  • 部で活躍している生徒をスタジオに呼んでいます
  • 職員朝会での大会報告を顧問が原稿にして渡す

お昼の放送は職員室に流す学校もあれば、職員室には流さない学校も

流している学校では。放送の中身について先生方が声をかけてくださったりして、生徒のやる気や達成感に繋がっている

生徒の呼び出しを職員が放送で行うのは、極力やらないようにする

伝達事項を全てノートに残している

アニメなど曲の傾向に片寄りが出る。普段からいろいろな曲を知って、流せるように

校内放送での取材

興味関心のあるところから始めないと続かない

ニュースはタイムリーな話題でなければだめ。いい素材を見つけること。

インターネットで調べた情報ではなく、取材して調べさせることを目的としている。

購買のお弁当を紹介して、売上UPにつなげた

図書委員より新しい本の紹介

1分半の原稿×2本を毎週必ず流す

聴いてくれたことの反応が励みになる

連絡と天気予報は大切に扱ってくれる

下校放送なら、取材なしで毎日続けられる

校内放送の効用

読みが自然になった

放送部があるという宣伝になる

年間を通した活動ができる(コンテストだけだと季節的な活動になってしまう)

継続性をもって指導できるのは昼の放送があるから

継続は伝統につながる

基本は生徒に任せているが、反応を顧問が伝えることで、関わりができる

インタビューを流すと、取材対象からは喜ばれる

決められた枠組み

ポップスは流せない(宗教上の理由)

音量に注意している

校舎の一部には流さないような配慮

一般の生徒からのフィードバックは

アンケートを実施して→辛口のリスナーの反応も吸収

直接言われる

教員からの意見をよくもらう


【アナウンスの指導】

アナウンス原稿の書き方

具体性を大切にしている。「一生懸命…」→どう一生懸命なのか?」

具体的にするために再取材をする

書く前に何を書きたいか話して、全国大会などでよく聞く型に合わせるような形で書く

生徒同志で批評し合う そこからどういう情報を入れたらいいか指摘させる

自分で探して、文章にすることが難しい 多少探せる、書けるようになった

長い原稿を100字に要約する訓練。

アナウンスは聞く人が知りたいことをを100字で伝えることだと考えた。原稿作りが大切。

原稿7割、読みは3割、原稿が大事

ラジオドキュメントにしたい素材を捜してこさせ、1分半の原稿に

朗読をやりたくて入部する生徒にもアナウンスを勧めて、取材についていかせる(育てるために)

説明文をパソコンに入れて、ソートしていく

伝えたいことは段落に一つ。聴いて理解できるように構成する

アナウンスも1つの番組としてとらえ、ドキュメントを作るのと同じ構成を心掛けている

捨てる部分が多いほど、良い作品(原稿)になる

論理性が大切

校内放送のネタ探し

A4版のシートを持って、校内を散歩。おもしろいもの、気になったものを5つ挙げる。それについて口頭で説明。書くことはあとにして、あくまでも話し言葉を大切にする

日々変化する事柄や風景などを素材にして、3分間で伝える練習(毎日)

デジカメで写真を5枚撮って、説明する

上級生が取材のネタ(メモ)を10個くらい下級生に提示して選ばせる

新聞記事を話しことばにするのは訓練になる

番組取材とアナウンスを平行するやり方もある

ニュース性がないと聞いていておもしろくない

「新しいこと」である必要がある。

聞く人へのメリットをさりげなくアピールする

聞く人がアクションを起こすような原稿を!! (基本情報+演出を盛り込む)

「お知らせ」も大切

ネタ帳

身の回りの隠れたものを探す

とりあえず行って話を聞いてみて、突っ込んで調べたくなることが見つかったらやりなさい

1人1冊ノートを持つ

ホワイトボードに思いついたことを書く(作れるときに作る)

模造紙に付箋紙を貼っていく

部員同士の話し合いでおもしろそうなものを番組にしていく

取材の手法について

取材をする際の下調べを入念にしている。取材対象を理解すること、その人物の人となりを知ることが良い原稿作りにつながる。

メールでの取材だと生徒が気軽にできる

本音を言うタイミング、語るタイミングをとらえること

取材する側とされる側の人間関係が大切

生徒同士の人間関係を育てる場として機能すべき(取材に至までのコミュニケーションも含む)

取材の前に、他の先生の所に行って練習(あいさつやコミュニケーションの練習)

教員は親切に答えてくれるので、取材の練習になる(コンテストの下地になる)

目的意識を取材する側がはっきり持った上で取材をした方が、取材される側も答えやすい

読みの指導法

N杯の上位校をまねするところから始める、60人集の中から同じように読む人のまねをして練習

録音練習。一番言いたいことを明らかに。切る部分に理由づけをしっかりし、説明させる

耳を鍛えることが大切 声をきたえる、作る 腹筋を鍛える。

話し言葉で説明させる。文章の切れ目が大切

人から聞いたことを、聞いた人がにわかるようにアナウンス

朗読部門の生徒に対しても行う。(愛知県大会は朗読部門でもアナウンス課題原稿を読む)

ドキュメント等の音声だけ抜いて、わかりやすくアフレコする

ローカルニュースのアテレコをしてみる

NHKのHPのTOPページにニュースが載っている(アナウンサーの実際の原稿)ので、練習して読み、実際のアナウンサーと聞き比べをする

顔の筋肉、背中の筋肉の使い方の指導 頬の筋肉は、メガネを外して練習

発声のときには顧問の誰かがつく

1分過ぎてからのスタミナをつける

スクワット、腹筋等のトレーニング→グレードアップしていく。筋トレ、発声を2時間

生徒に考えさせるようにしている。顧問が顔を出せないとき、手を抜かない工夫を(録音するなど)

地名など、読みがわからない時は、NHKに問い合わせると答えてくれる

アクセント辞典で細かいアクセントを調べつつ、ゆっくり読む

自分のイメージを押しつける読みにしない

初めは声を出さずに、係り受けや解釈に力を入れる

(初めから声を出してしまうと、その読みが固定される恐れがある)

どの言葉がどれにかかっているのか意識する。主語述語を抜き取らせる

舌をよく動かす。

プロミネンスを考え、読み方を工夫する。段落のつながりの工夫。(主体的に発見させる)

一番大切な単語(キーワード、キーセンテンス)を工夫して読む

聴く相手を想定して、自分のひとりよがりにならないように

自分の読みが相手にどう伝わるのかを生徒に考えさせる

声を張らずに自分の高さを決めてという指導

聞き手をどこまで意識できるか。聴いている側が意識できるように間をとる

日本語としてつながるように

ことばの響きを大切に

方言は特に指摘してあげる。

方言を入れた文を読んで対比的に

普段の話し方が大切。地方の方がかえってバイリンガル的に読むことができている

(地方独自の読み方は活かした方がいいのではないか)

基本の発声、滑舌は毎日(声出せば必ず変わっていく)

《発声練習 メニューあれこれ》

「あめんぼ」「あえいうえおあお」「ういろう」「ロングトーン」「高低伸ばす」「早口」「ぱらぷり…」

場所 グランドに向かって 放送室で 中庭で(遠くに呼びかける意識) 寝ころんで

「あえいうえおあお」が基本 →明瞭な発音につながる

プロのしゃべりかたをマネさせる

NHKのラジオを聞きながらシャドウイング

(言葉を文字にしないで、言葉を聞きいたまま追いかけるように音読していくという英語学習の手法)

NHKの「ことば力アップ」という雑誌に載っている内容は、NHKアナウンサーの指導内容がよくまとまっている

母音練習(言葉を母音だけにして読む)は劇団四季の練習にも取り入れられているが、言葉がはっきりしてよい

同じ文を皆で順に読んでみると面白い訓練になる

原稿内容を友達に語りかけるように話して、要旨やプロミネンスとなるべき点を確認させる。他の人が聞いて「へぇー!」と思うような内容を盛り込ませる。

外部からの指導について

他校から来てもらって指導してもらっている

総文祭前にNHKからの指導を受ける(1人5分から10分)(栃木、岩手)

年1回~数回 県内の顧問が集まって指導を行う(青森、岩手)

出場選手に絞った講習会(代表以外の生徒への指導が充分でなく差が広がっていく)

希望者を募って年1回の講習(熊本)


【朗読の指導】

作品の選び方

楽をしようとしてもだめで、ちゃんと全部読んで理解すること。

基本は生徒自身の選びだが、声質によってアドバイスすることはある。

古典に挑戦したことがあるが、果たして審査員が審査できるのか心配。

翻訳物は読みにくい。

抽出箇所の選び方

最初の5行くらいで場面がわかる部分を選び、後ろは時間によって割り切る。

場面展開の明らかな、会話のあるところにしている。

「 」について

感情移入してはいけない、といわれるが、だれもがいい、と思える読みを目指すしかないのではないか。

「 」についても、読解が基本。

読解をきちんとすることで不自然さをなくすことができるのではないか。

息を長くしないと朗読に使えない。係り受けをきちんと考える。

人物理解も徹底して研究する。それを自分で考えることのできる能力が必要。

地の文の読みについても考えるべきことが多い。

間の取り方で、場面がわかる。

自然に朗読できるように。→日々の練習しかない

隣りの生徒に聞いてもらったり、生徒自身が疑問を持ち指導を仰いだり…

好きなもの、楽しいものをイメージして声を出す


【ドキュメントの制作】

テーマの見つけ方

生徒と話し合いながら見つける

学校の特徴を生かしたテーマを見つける

顧問が面白いと思うもの、生徒が面白いと思うものを大切にする

常に番組のネタを探しておく →生徒がつまった時に提示できるように

地域に根ざしたものから

地域に密着した細かいネタで作るよう指導

地域とイベントをやるスタイル

身近な疑問から

ネタ帳でネタをためておくと、今すぐ作らなくても2年後3年後に番組になる場合もある。

新聞記事などもヒントに

生徒に各自3つくらい考えさせて来て、その中からチョイスしている

3人グループでラジオ、テレビに分かれて考える。取材対象、質問内容を文字に起こさせ、それを元に構成を考えさせる

ブレーンストーミングする。どんなくだらない内容でも出しあって、その中から作り出していく

模造紙を部室に貼っている。

N杯全国大会行っている3年生が作品をビデオ撮影。2年生が講評を書き、帰って来ると報告会。よいと思った作品を1年生に紹介

夏休みの一日、図書館から3ヵ月の地域新聞を借りて来てテーマを探す。30個くらい出してコピーし、その中からみんなで選び出す。その日のうちに番組のコンセプトまで考える。

社会性のテーマは自分で疑問を持てるものでないと作品にならない

地元の活動に自分も参加した上でインタビューすると深いものができる

取材もできるだけ多くの生徒に回数を多く関わらせる。そのうちに取材対象と馴染んできて、自然にインタビューできるようになる

情報番組で終わらせずに、何か心を動かせるものを作らせたい

アナウンス原稿が番組作りに続いていくこともある

膨らむネタと膨らまないネタがある(企画の段階で決まってしまうのでは?)

アナウンス原稿をもとに作らせた

A3用紙に企画を図示(中心に疑問、伝えたいこと→取材先と内容→構成)

すごい人がいたら現場を見て、感動して、伝えたくなる

アナウンスで足りなければ、ラジオにしたらと勧める

地元の映画祭(他校の番組)、九州の講習会も参考になる

構成は3段落か4段落が基本だと思う

生徒に、その人で4段落が出来るか問う。

インタビューも4段落にできる分とれるか。

テーマと素材は別

素材を通してテーマを描く。

素材だけあってテーマがない番組、テーマはあるが素材が足りない番組がある。

視覚化できる、音声化できるテーマを探す。

素材は「人」、その人がタイムリーであること。

素材としてスーパーマンは面白くない。普通の人で、どこか1つでも違う所があればいい。

今その人が現在進行形のドラマをもっていらっしゃるかどうか。

テーマが高校生とつながるかどうか

同じ高校生、自分に跳ね返って考えることが出来る人でないと番組はできない。

ドキュメント=事実

身近な人(事柄)を丁寧に追っていれば、おもしろみに気づくはずだ(ドキュメントの本質)

決定的な一瞬をとる
どうやってテーマをきめているか

部内コンペ:2~3ヵ月に一度企画会議をする(校内放送、アナウンス原稿、番組に分ける)

顧問が生徒にテーマを与える場合もある →その後 生徒の技術・意識を高める工夫をする

部内でコンセプトを固めてから、具体的な番組案を持ち寄らせる

まず班を決め、各班で企画案を作らせそれをチェック。それを全員に提示し各班が自分達の企画をプレゼン。互いに意見を出し合って持ち帰り、再検討。

アナウンス原稿としてまとめてから、番組案へとふくらませる

持ち寄った案に対して、それぞれ疑問をぶつけて内容を深めていく

生徒の案を出させつつ、教員の案を出すタイミングを考えている

番組の流れを書かせる

ある程度取材したものを企画会議に持ちよる

顧問は最終判断は決してしない。「こっちがいいんじゃないかな」という程度にする。

取材対象も放送部員を応援したくなるような番組を目指すとよい

取材対象・作り手・受け手の三者が幸せになるようなテーマを

喜んでもらえるテーマを選ぶ

→反響が次へのモチベーションにつながる

まとめ方

撮ってきたら、付箋紙に各シーンの内容を書いて、それを並べ替えてストーリーを作り、それを元に映像を並べ替えて見てみる。それを繰り返す

形ではなくメッセージ性、ビジュアルのセンス、取材力が大切だと思う

審査でも、教員は「がんばったもの」に高評価をつけることが多い

締切の前に合宿(2泊3日)をやり、そこで勝負をかける。

(6月第1週に高総体があって運動部がいなくなるのでその時に実施)

昼間にアフレコ、ナレーションを一気に録り、夜に編集

発表の機会

先生方にも見てもらう機会を増やしたい

学校説明会で、「ある生徒の1日」という作品を上映している

各校で集まって発表会をするとモチベーションがあがる

学校祭で流すことが最大のテーマ

(見てくれた人がおもしろいと感じるか、誰に伝えるかがはっきりしている、全校生徒が喜ぶのがうれしい)

地域の発表の場(映画祭など)で、(本来の意味で)作りたい番組をつくる、発表する


【ドラマの制作】

シナリオの作り方

生徒同士でシナリオについてコメントをつけ合う。

互いに台本をたたき合うことで、深みのある作品になる

好きな生徒が思い入れたっぷりに作ることが多いが、一人よがりにならないように気を付ける

ドラマも取材をもとに作るものだ

メッセージがきちんと作れているか

シナリオの書き方、作り方について誰かに教えてもらう

合宿でコンペ

ラジオドラマの録音はどうしているか

1シーンは出演者全員を一斉に録音。その方が音のレベルが合う

ビデオの方が場面を見つけるのは楽だがキャプチャーが少し面倒

MP3でSDカードの方が便利

ファイル名でシーンを把握

台本は手持ちだとカサカサ音が入る →大きくコピーして壁に貼ったり、譜面代を使う

キャスティングが大事

文芸部にシナリオを書いてもらい、演劇部にも入ってもらったこともある

演劇部に頼んでいる学校ある。アフレコは演劇部ということも

演劇部は覚えが早い、演技が濃すぎるときも

規定でも出演、脚本は「部員」である必要はなく「生徒」ならOK

どこからが盗作か

顧問も知らないうちに、ネット上の作品に類似したものが出来てしまうことがある

生徒の自覚の問題。前から生徒によく言い聞かせておく必要がある

見たことがあるという生徒はよくいる

盗作かと思われる作品が賞をとることが問題となるのであろうが、生徒がオリジナルだと言ったときには信じるよりほかない

どの作品も必ず何か似ているのがあたりまえ

8分のドラマ

生徒はたくさん書いてくる→削る→話がわからなくなる→ポイントをしぼる→どこか似てくる

【機材について】

カメラ

絵コンテを作らなくてもフォルダー一覧で編集できる

デジタル一眼レフで撮影する

SDカードのクラス6以上

映像がきれい レンズも大事 拡張子の変換が必要

レンズが大きいと夜でも撮れる

HDVカメラでもMPEGで撮影すれば、非力なパソコンでも重くなく編集できる

新しく買ってもらったカメラがHDVの16:9の画面。4:3にすると変な画面になってしまう

上下黒の「レターボックス」形式にすれば、絵そのものは16:9でOKだし、そういう作品はたくさんある

パソコンの台数が限られている場合はどうしているか

HDに入れて家でやっている

機材一式を持ち帰らせたこともある

ラジオだと5,6年前のパソコンでも十分できる。学校で使っていない古いものをもらってきてやればよい。

ソフトもフリーのもので十分

機材の整備

要望書を出して認められば学校で購入してもらえる

校内で情報担当をしているので、学校として必要なものと思われる物は購入した(プレミアなど)

予算が毎年9,800円しかないので苦しい

委員会なので年間予算が1万円しかないが、外部の活動で資金をいただいた。

転勤してすぐはいつも自腹になる。

自腹は多い。2,3年継続して事務室に要求し続けてやっと買ってもらった

新設校なので買える物もある。年間の予算だけでは足りないので教育振興費など様々な名目の予算から少額ずつでも要求している

本校は、恵まれている方だと思う。この恵まれた機材や設備を校内で役に立つ活動のために使おうということをいつも生徒に言ってきかせている。校内で役に立つ活動ができれば、新しい機材の購入もスムーズにいく。

いったいどれくらい機材があれば満足いくのか、ある物を使いきっているのか、そういう意識が必要。

予算を取るには文書でお願いする。研究費として出す。学校行事をハイビジョンで撮るとアプローチしてみる

何かの仕事を引き受けるかわりに買ってもらう

事務と仲良くする

常に意思表示をしていく(発信していく)

同窓会に働きかける

コンクールでの賞金

学校活動があるから高い機材を買ってもらえる


【部員の確保】

新入生への紹介がうまくいくとたくさん入る

部活紹介では笑いを取り入れて人集め

顧問のクラスの生徒

推薦の要件にもなる

中学生への説明会で司会やビデオメッセージで、活動しているところをアピール

クラブ紹介のビデオを作ってアピール

活動をいかに見せるか。放送の仕事は地味なので、できるだけPRする(校内放送そのものがPR)

全国に行ったら東京に行けるよ、全国各地に行ける…等をアピールして誘う

初めはハードスケジュールを伏せておく

入部していない生徒にや、他の部をやめるような生徒をキャッチする

放送部の認知度を上げる

年度初めに、担任の協力を得て1年生を中心に勧誘

人数ではなく、気持ちのある物作りのできる生徒がいた方がいい

国語の音読で上手い子を部活に誘う

男子は番組や機材に興味を示すことが多い

声優志望の生徒にも「読みの基本をきちんとできた方いい」と指導

(ときにはアニメ的にやらせるのもよい)

たくさんの部活を兼部する生徒は、1年間の計画をきちんとさせる

剣道部の子は声がよい

BGMにピアノのうまい子

入るまでは、褒めておだてて、呼び寄せる

放送部とは別に放送委員会もあって、力仕事や人手が必要な時に駆り出す学校もある

校内の仕事だけではなく、外部の仕事もしてPRする

ボランティア等を積極的に行う


【生徒のやる気の出させ方】

それぞれの得意分野が生かされるように

クラブ内失業者を作らない

まずは顧問が楽しむこと 生徒と一緒に番組を作るところから

卒業生が指導してくれると生徒はやる気になる

仕事をするときに「ここまではやるものだ」と慣れさせる、できるようになるとやる気も出てくる

学校全体のことがわかるというところを活かす

自分の学校だけなく、他校の生徒との交流(他校と一緒に活動することで意識づけになる)

いろいろな役員を積極的に引き受ける

(高総文祭、ブロック大会などの企画運営放送局からの依頼なども)

名刺を作らせ交流を

研修合宿

行事や校内放送を通じて人前で話すことに自信が持てるようになる

人前に立つ機会は多い方がよい。褒める

体育大会などで当番校になった。場数を踏み、自分が認められている、必要とされていることを自覚

どんどん舞台に立たせた方がよい

コンクールの後のアドバイス。指摘は一つ二つにして、あとは褒める

放送部として依頼がくる。他の先生に褒めてもらうと励みになっている

上手な生徒でなくてもチャンスを与えることでやる気を出して伸びた例もある

校長に放送部のねぎらいの言葉をかけてもらう

認知度を上げて生徒のやる気を上げる

生徒会や他の部活など、所属を越えた協力

発表する機会を増やし、モチベーションを高め、それを維持できるようがんばりましょう

作った作品はコンテストに出さなくても校内放送で流す

一般の人に放送部の活動を知ってもらうためのイベント

教員に対しても活動の認知度を上げる(学校行事での貢献など、活動をアピール)

放送が「みんなの役に立っている」と実感できるようにすること。

部活動である以上、生徒がおもしろがって取り組めることが大切


【顧問の役割、資質向上】

活動のアピール、認知度アップ

生徒の活動が周囲に「認められる」機会を作る

人間関係を作ることが大切。顧問が早めに部室に足を運ぶ。

生徒と時間をできるだけ共有する

顧問のやる気は生徒に伝わる。

部室にしっかりいるようにする

部室に行くと、自分自身が落ち着くし元気になる →居場所(自分が認められる場所)を作る

生徒と一緒にいて、普段からよく接するようにする

部活動顧問として大切なのは「一緒にやる」こと。何ができるかを一緒に考え、できることの幅を広げる。

生徒の技術をどう上げていくか

友人を呼んで発表会的なことをして叩かせる

機材に触れさせる時間を作る

アナウンスとドキュメントが大事 事実を事実通りに伝えられるか

外に取材に行くと違う

取材の繰り返しをどれだけやるか

だんだん取材のレベルが上がっていく、上げていく

その取材を番組に繋げていく

音楽の流しっ放しはしない

アナウンスとカメラは両方やらせたいが、なかなかやりたがらない

漢字にはふりがなをつけて原稿を渡し、家で読み練させる

「やってみたい」という気持ちをくすぐる

読みたい、人の前に出たいという気持ちをおだてつつ励まして取り組ませている

幼稚園等で読み聞かせをさせてみたい

1年生のうちはすべてをさせ、上級生になったときに指導ができるようにする。

さらに2,3年生になったときに自分のやりたいことができるようになる

どうすればいいか方向性を伝える(生徒の限られた時間の中で成果を出すには)

技術的にも困難を乗り越え、精神面も成長する。後の世代を作っていくことも必要なことの一つ。

指導には確かに迷うことがある。専門家の評価を得て吟味する必要がある。

放送部に入部する生徒の傾向

地区大会を勝ち抜いていくことでモチベーションがあがる

全国大会へ出場→大舞台を踏んでいる生徒はすぐ声を出せる

「大会に出る」ということで、活動に腰が引けてしまう生徒もいる

部活の情況、学校の環境による

体制がまだできていない場合は、顧問が一から指示を出すべき

弱いところを抱えながら、放送部にのみ居場所を見いだす生徒もいる。

学校に来るのが精一杯の子たちには、先生がまず指示を与える

先生から何個か提案しつつ、生徒からも必ず案を出させる

そして部会で決める。部会で決めれば、自分達で決めたことだから自ら動き出すようし向ける

無理な要求に応えられる(打たれ強い)生徒を育てる

※受け入れもするが無理も言う=信頼関係→いいものを作れる

取材に連れて行くと、生徒は教科書では得られないことを学べる

大人になっても役立つような活動。外へ出て行く。外でたたかれることで成長する。

必要な時に適切な指示を与える

(高校生は手の差しのべ方を間違わなければ、だいたい自分達で問題を処理できる)

放送室の雰囲気作り(「話」の文化の構築を日常の練習で)

「しゃべる」ということを現在の教育ではしてきていない

いろいろなメディアの登場で人間関係が広がってきている中で「しゃべる」ことの重要性は高まっている。

それを教育するのが放送部

組織としてのあり方

県の指導体制を整え、顧問の資質向上をはかっている(千葉の取り組み:春の合宿、クリスマス講習)

3学期の大会、目標を持たせるため県内を2つに分け南北大会を実施している(福岡)

府立→市立→私立のローテーション

顧問研修が大切

予算が少ない。放送部会は独立していない状態からスタート(視聴覚の予算から分配)

賛同者を得て行っていくしかない。「語ること」の魅力を伝えていってほしい。(顧問にも生徒にも)

ゼロからのスタートであっても、地道にやっていけば理解者がでてくるはず

H27北海道大会に向けて生徒を向上させる=顧問の質の向上

各地区の顧問の手で成功させたい

顧問の資質向上

自分が勉強すること。そして県全体を見て、人材を発掘し、放送部の拡張。発展を図る

いろいろなところへ出掛け、いろいろな先生の指導をきき、ネットワーク作りをしよう。

放送局の人との交流。顧問自身が自主研修に励む。

NHKの36,000円の朗読講座は本当にすごい!! 勉強になる

自分の好きなアナウンサーの読みを真似する

車の運転の時に発声をしてみる(耳も鍛えられる)

県の講習会


講座2 実践発表「北海道10年の試み」

講師 札幌日本大学高等学校 福田 幸一 先生

「Nコンでここ数年、北海道の成績がいいのは何故なのか、その「秘密」を是非話してもらえませんか」

10月の終わり頃、この講習会の事務局担当の方からそんなお電話をいただきました。はたして北海道にお話しできるような「秘密」があるのかどうかわかりませんが、関係の先生達と協議して、(秘密なのかどうかわかりませんが)この10数年、私達が取り組んできたいくつかのことを、この機会にまとめようということになり、併せて各県の熱心な放送指導者の皆様方にお話しさせていただきながら、私達、放送指導者の取り組むべき課題は何なのかを考え合える機会になれば・・との思いで、このたび実践発表させていただくことになりました。

決して高いところからではなく、同じ放送仲間として話してみたいと思いますので、この発表の後、忌憚のないと意見やご批判、アドバイスなどありましたら是非お寄せ下さい。


1「検証:放送コンテスト10年」

この表は過去10年間にさかのぼり「NHK杯全国高校放送コンテスト」の入賞(優勝・準優勝・優秀賞・優良賞)の記録をまとめたものです。この中に占める北海道の割合は次の通りです。確かに年々その割合は高くなり特に50回大会以降は確実に上位入賞校が増えてきています。これを部門別にしたものです。

アナウンス・朗読部門よりも特に番組部門に上位入賞が目立ちます。

またここ数年、全国最優秀賞にはこの間、必ず北海道のどこかの学校が選ばれたということになります。しかも、もう一つ特徴的なのはそれが「特定の学校に偏っていない」ということです。確かに全国入賞・常連校といわれる学校は複数ありますが、中には全国大会初出場で決勝まで進出した学校がいくつもあるのです。

この現象は何故起きているのか。その理由として考えられることを実際に上位入賞した複数の学校の顧問に尋ねたところ答えていただいたことは、大別して下記の3点にまとめられます。

  1. 指導する顧問が自信を持って、生徒達に番組作りに取り組むませることができた。
  2. 以前より学校間交流や講習の機会が増え、生徒達の意欲が高くなっていった。
  3. 全国大会で入賞する番組の水準が見えてきた。

こういった感想を頂ける背景にあるものをお話ししようと思います。


2 裾野を広く、山高く

Nコンのアナウンス・朗読の部門で九州勢が圧倒的に決勝に進出していた頃、長崎で天野先生が中心となって「指導者講習会」が行われていました。北海道からもその「秘密」を知るべく何人かの顧問が参加させていただいています。参加した人達の話を聞きながら、この北海道でもそのような素晴らしい講習会を開けないものか考えていました。もちろん北海道独自の、そして北海道にしかできない方法と内容で開催することを当時の私達は目論んでいました。

2年間の試行期間を経て、1泊2日日程の「第1回放送技術向上講習会」にこぎ着けたのは10年前、平成13年3月のことです。そのとき全道各地のからの参加者は生徒99名、教員37名です。運営には教員15名が当たりました。定員の120名を遙かに超える申し込みがあり、結局、札幌圏の高校には参加を遠慮してもらい、地方の生徒のみ受け入れることで開催することになりました。指導の機会に恵まれない生徒達が北海道にはたくさんいるのだと実感した講習会でした。翌年はその札幌圏の生徒達と地方の生徒達を受け入れるため1泊2日日程の研修会を2回続けて行いました。運営委員と講師は同じことを2回つづけてやりましたからこの年は2倍疲れました。翌年は、この嬉しい反省をふまえ大胆な決断をしました。第3回からは人数調整の意味もあって参加者を1年生に限定した技術講習会としました。このことは予想以上に効果が高く、1年生のうちにしっかりした基礎を学び、自信を持って2年生になって新入局員を迎える事が出来、講習会で交流した他校の仲間達と共通目標(いい意味でのライバル)を持って2年間頑張れるということです。「参加して良かった。」「いろいろなことが学べた」「出来ることなら来年も参加したいが、無理なので後輩に参加を勧める。」というアンケート結果が大部分だったので、私たちも本当に毎年やりがいを感じています。ちなみに宿泊の部屋割りは他校の同一部門の生徒と必ず一緒になるようにしています。以降、この講習会はずっと1年生のみを対象に行ってきました。1・2年生混在よりやりやすく、指導レベルもしっかりと基礎を中心に進めており指導に焦点を当てやすい研修となっています。参加要項などは、参考資料をご覧ください。

「この講習会がいつか実を結んで、北海道の放送の裾野が広がってさらに高い山になっていけばいいね。」

この言葉を出発点に始まった技術講習会は昨年、生徒200人、参加教員50人をこえる規模になりました。3月で10回目を迎えます。

昨年の講習会の内容はご覧の通りです。

5部門(アナウンス・朗読・ラジオ番組・テレビ番組・指導者)で行っており、アナ朗読部門は少人数でそれぞれのコースにはっきりとしたレベルと目標があります。アナ・朗読・番組制作の講師はプロのアナウンサーや第一戦で活躍する専門家のみです。アナ・朗読各コースは20名以下の少人数コースで専門家から直接指導を受けられるというふれこみで、5クラス設けています。どのコースも大変好評です。翌日には発表会(コンテスト形式)を行います。夜遅くまで練習している姿が見受けられます。ラジオ・テレビの番組制作部門は異なる学校でチームを作り番組を作り上げる実習形式です。シナリオ作成、撮影、編集など制作は徹夜作業になりますので、ハードですがやりがいがあります。翌日は完成作品合評会と優秀作品の表彰です。指導者講習はアナ朗読コースと番組制作コースに分かれ、さらにそれらが初心者クラスと上級クラスに分かれます。番組制作コースは生徒達と一緒に同じテーマで番組を作りますので、教員チームの面子にかけていいものを作ろうとして、中には徹夜する教員もいます。 生徒達のコースも教員コースも毎年、異なるプログラムを企画しています。去年うまく行ったので今年も同じことをやろうという発想に立たずに行うことが大切です。


3「生徒ではなく指導者を」

私達の願いは「放送の裾野を広く」することです。実はそのために絶対必要な条件があります。それは「生徒を育てるのではなく、指導者を着実に育てる」ことなのです。だから講習会の教師用プログラムは毎年違うことをやっています。参加する先生達に、また同じ内容かと失望されないように、そして毎年参加してもらえるようにです。しかも、アナウンス・朗読指導の部門には指導上級者と初級者に分けたプログラムを用意します。継続して参加してくれる若い先生が増えています。彼らはここで多くの熱意ある先生と知り合い、しかもベテランの先生達ともコミュニケーションする機会を得ます。(もちろん夜は懇親会があります)一緒に温泉に入ったりして寝食を共にしますので、情報交換やアドバイスしやすい雰囲気になります。学校に戻って生徒達によい番組作りや新しいアナウンス・朗読指導を施し、資料提供もできますので、生徒達からも頼られる顧問になっていきます。

放送コンテストに於いては、まず各地区予選を勝ち抜いて生徒達を全道大会に連れてくることが若い顧問の目標となります。技術講習会はきっかけに過ぎませんが、そのきっかけこそが最も大切です。


4「運営はチームワーク」

技術講習会はいまでは多分どの県でも行われていると思います。目的は何処も同じようなものだと思いますが、その実を確実に上げるために必要な要素は「運営する側の共通意識」です。言葉を換えればその組織作りとネットワークが大切なのです。

北海道高文連放送専門部の組織は現在こうなっています。

北海道高文連放送専門部は10年前と5年前に大幅な組織改変を行いました。専門委員長・事務局長を中心に事務局体制の強化、総務部会・常任委員会・専門委員会・放送コンテスト運営委員会・技術講習会運営委員会と、多くの専門部会を作ってあり、漠然と色々やっていた頃と比べて業務上はすっきりした形になりました。運営の中核となるのは総務部会です。総務部会は出来るだけ頻繁に行ってきています。この組織体制がやっと軌道に乗って、現在は有機的に機能しています。時には若い先生を補充(抜擢)していくこともあります。世代交代のための後継者作りを念頭に置きながらも、放送コンテストや技術講習会などの事業の運営をスムーズに行い、多くの人達が相互に協力して取り組みやすくするためのポジション作りと特定部門にエキスパート養成を目指した改革です。北海道は広いのですが、拠点となる各地区に実力・行動力の備わった指導者が確実に増えています。


5「指導力のある顧問の育成を」

番組制作にしぼって話そうと思います。放送コンテストを目指す顧問にはおおよそ共通の悩みがあります。出来上がった番組は誰が作ったのかと言うことです。多分、作品は生徒達が試行錯誤して作るものでしょう。しかし、なかには生徒をさておいて先生が思いあまって作ってしまう例もあるように聞きます。とてもこれは生徒が作ったのではないだろうと思われる上出来の作品も目に付きます。なかには今すぐプロになっても食べていけるような顧問の先生もいらっしゃいます。もちろん顧問である以上そこに指導の手が入るのは当然のことですが、どこまで手を入れるのが放送コンテスト出品作品の許容範囲で、その外側にある作品をコンテストでどう評価するのかということです。各都道府県予選の段階でその部分も含めて審査がなされ、全国大会に送り出されていればいいのですが、この基準はとても難しいと言わざるをえません。大切なことは、そこを自覚しながら生徒を頑張らせることの出来る「指導力のある顧問の育成」ではないでしょうか。放送顧問はどうあらねばならないのかも含め、各都道府県レベルで研修しなくてはなりません。


6 まとめ

北海道には道立高校が250校、私立高校は53校あります。そのほとんどに放送部があり顧問の先生が頑張っておられます。放送コンテストは北海道の8地区で地区大会(予選)が行われその上位大会は北海道大会です。札幌市(石狩地区)と地方とで毎年交互に開催される800人規模の大きな大会となります。ですが、当番校のみに大きく負担を強いる大会ではなく、コンテスト運営委員を中心に当番校との運営協力体制が確立しており、多くの協力でスムーズに行われるようにしています。

10年前と比べると、全道各地に、実に熱心で個性豊かな行動力のある指導者が、増えました。ベテランと若手がよいチームワークとバランス感覚を持って、今も放送指導者と生徒の裾野は着実に広がっているように思います。私達に誇れるものがあるとすれば、それは近年のNHK放送コンテストの好成績ではなく、新たな組織を活用しながら多くの専門委員や顧問教諭達の協力で生まれた「信頼のネットワーク」なのです。そして、それこそが北海道の10年の歩みで作り上げられてきたものなのだと思っています。


7 問題の提起

この実戦発表を機会に北海道から「NHK放送コンテストの審査資格」について問題を提起したいと思います。 初めてコンテスト審査をする先生は不安が一杯です。経験値の高い先生から学びやすい体制を作ることが大切ですし、初心者審査員に、日頃どう研究したらいいのかを示唆することも求められることです。初めて審査員になった顧問も臆せず審査できるように、北海道大会は全部門、審査点をハイカット・ローカットしています。審査点数も全て当日中に講評用紙と共に公開しています。

似て非なるものが全国大会です。

休憩の昼食時間に小さい声で話していたある県とある県の二人の審査員の会話です。

「私、朗読の審査するのは初めてですが、どういう観点で点数つければいいんですか?」

「わたしは2回目です・・よかった。私も不安だったんです。」

私が経験した10年くらい前のNコン全国大会予選審査でのことです。この先生が付けた点数で今年度の準決勝進出者が決まるのかと、悲しくなりました。自信を持って全国大会の審査が出来るだけの水準になるまで、審査員の育成にも力を入れなくてはならないと思いました。あまりにも食い違いのある予選講評用紙に書かれたコメントが、もしピント外れならば青春をかけて全国大会を目指し練習してきた生徒達の疑問に誰も応えることが出来ない事態になります。審査員の育成は都道県レベルで責任を持って進めなくてはなりません。それは地元のNHKや放送局などの協力を得ながら、相互の研修で十分可能だと思います。全国大会の審査それ自体が、若い先生を育成する場であってはならないのです。

ならば、その全国大会審査員の選定を各都道府県にのみ任せていいのでしょうか。全国コンテスト運営委員会が公正に資格検定などを行った上で全国大会審査員を認定するシステムを作り上げなければなりません。審査員の育成は都道府県レベルで。全国大会審査員ライセンスは全国審査員資格検定などで認定する、などの方策をとれないものでしょうか。この指導者講習会にみえている方々は(ベテランの方もお見えでしょうが)必ずしもその県内で放送経験十分の先生方ばかりとは限りません。審査に関して言えば、この講習会に出ることは全国大会審査員資格の十分条件だったとしても必要十分条件ではないはずです。全国大会審査員となれば「専門的な理論」「適切な審査能力」「豊かな指導経験」そして「顧問としての実績」も大切な条件ではないでしょうか。現在、予選・準決勝・までの審査員は都道府県の推薦となっていますが、ここにNコン審査方法の一つの課題があるように思います。

蛇足ですが、決勝審査員についてはめんどうでも「部門別」に専門家が入れ替わるなどの改善も、あるいは必要かもしれません。


8 最後に

ここにお集まりの全国各地の放送指導者の皆様方にご相談ですが、北海道高文連放送専門部は来年度の大きな目標として都道府県単位での「指導者の交流会」を望んでいます。「合同研修会」などは次のステップのお話で、あくまで北海道の熱心な放送顧問との都府県単位の「交流会」です。夏休みや冬休みの1泊2日程度、情報交換と交流の機会をもって今以上に仲良くなりませんか。そしてこの一歩がいつか都道府県単位での「教員同士の技術向上研修会」、最終的に「生徒達の交流発表会や合同研修会」に繋がっていく第一歩になれば、素晴らしいと考えています。北海道ははるかに遠いですから、」北海道団体旅行のつもりでいらしていただければ、趣旨をふまえて北海道高文連放送専門部は総力を挙げてベテランから若手まで、笑顔でお迎えできると思います。

あるいはさらにその前段階として、3月29日・30日に前述の「第10回放送技術講習会」を利用していただいても構いません。会場は札幌近郊の名湯「定山渓温泉」です。研修参加ではなく視察を兼ねて気軽に見に来ていただいても構いません。夜の交流会では盛大にやりましょう。

その際は是非ご一報ください。

時間の中で説明し尽くせないところもありましたが、本日は「北海道の10年」という観点でお話をさせていただきました。発表は以上です。ありがとうございました。


講座3 番組講習「放送部指導の理念と基礎知識 ~映像制作活動を通じた人間教育をめざして~

講師 東京情報大学総合情報学部情報文化学科教授 伊藤 敏朗 先生

Ⅰ.映像制作実践から学ぶもの ~実践を通じて私が考えてきたこと~

番組制作は、高度な創作活動であり、豊かな人間教育となるものである

プロジェクト(仕事)の順番

夢をみて プログラムして 実行する

-西和彦(アスキー創業者)

夢をみて:放送部活動の理念と目標をもって、

プログラムして:準備怠りなく日々の鍛錬を重ね、

実行する:しっかり現場に行き最後まで完成させる

映像番組制作はこのプロセスを学ぶことのできる、優れた、また手頃なプロジェクト学習

番組制作を体系的で短時間に教える難しさ

必要な知識や技量は複合的で体系化しにくく絶対性がない

創作に「決まりごと」はない、学習者のレベルや情熱で教え方も異なる

ある人にとっては難しく、ある人にとっては易しすぎる

教える内容はしばしば矛盾して聞こえる

三脚・フィクスが基本 v.s. 臨機応変なカメラワーク

映像番組は常識・良識に訴えるもの:

観客の常識的で一般的な目で評価される

従って、そのノウハウも「わかりきった当たり前のこと」に見える

それが当たり前でないから教えるのだが、聞く側はあまり有り難味を感じない

番組制作は実践を通してしか学べない

実践・作例と理論を交互に示して初めて納得できる

丁寧にやれば数10時間を要し、飛ばしてやれば何のことやらわからない

しかし…短い時間の短い言葉の中でも伝わるものはある(ハズ)

今回、「これだけは伝えたい」ポイントをまとめてみました…案の定、膨大に…これからの指導のよすがに

伊藤敏朗HP http://www.rsch.tuis.ac.jp/~ito/


Ⅱ.放送部指導者の役割

1.理念と目標を示す

~夢をもって学習者の成長を支援する~

1.1 放送部活動の目的

「優れた作品を作ること」ではなく、「人を育てること」

  • 映像のプロではなく教育のプロとして、夢を抱いて、生徒の成長のための触媒になる
  • 学習者(生徒)とメディア(社会)との出逢いの触媒
    社会や人生の面白さ・難しさ・楽しさを知り、生きる力を涵養する
    学習者(生徒)が生涯を通じて学ぶ態度を育む
  • 作品とは具体的なもの
    具体的な「行動力」「実行力」を身につけること
1.2 メディア教育活動の目標

「メディア・リテラシーの育成」

「コミュニケーション能力の獲得」

番組づくりを通じて社会や地域に目を向ける体験

  • 時間的、空間的な連続性の中で自分が生かされていることを知る

カメラやPCの操作スキルより、生身の人間としてのコミュニケーション能力獲得

  • 取材力=挨拶、笑顔、聞く力・話す力、遅刻欠席しない習慣

外界にアンテナをむけ、問題や面白さを見いだす知性と感性を育成

番組化・作品化=テーマを抽象化し一般化する力

  • 人間の背骨となる知性と教養を、人間としての総合的な輝きを伸ばす
  • 顧問の口ぐせ:「本を読め」
1.3 顧問の役割

「ハナシをつける」

「ペーパーを作る(残す)」

「日程・工程管理に目を配る」

  • 学校活動として(校長・教頭に)ハナシをつける
  • 取材先のどこに「ハナシ」をつけるのかを見通す
  • 必要な文書(ペーパー)を作成し、ハナシをつける
  • 制作過程や反省を記録(ペーパー)に残す
  • 生徒に「ペーパー」の意味・価値・威力を教える
  • コンテスト等の締切りから逆算し、無理無駄のない活動・制作日程を策定して、日程行程を監理する
2 安全と倫理を確立する

~安全で真面目な部活動文化の構築~

2.1 安全の確立
  • 学校内外での実践活動に潜む“危険”を認識する
  • 安全の基本:慌てない、忘れない、走らない
2.2 倫理の確立
  • メディアを使ったおふざけやイジメを許さない
  • 規律ある部活動文化(遅刻欠席せず約束を守る)
  • 作品や機材を大事にする文化の構築
  • ‘若者の文化・気質・体力’への理解とダメ出し
3 活動を支える環境整備につとめる

~管理と運用の要諦~

精神主義では戦えない・念写で作品は出来ないし、カメラだけあっても作れない

*場所・機材・予算を確保し、よく使いこなし、合理的・機動的に運用するノウハウを身につける

3.1 ドキュメントを整備する

(まず本棚を作る)

  • 本棚は頭脳・司令塔・設計図

活動に関するもの…活動規則、日誌、名簿、コンテスト情報、教科書等

管理に関するもの…機材リスト、取り扱い説明書、保証書

作品に関するもの…シナリオ、取材ノート、諸情報

作品そのもの=貴重な作品であり教材でもある(テープやDVD、BDの保存)

3.2 機動力を高めるための管理・運用方法(移動・運搬方法も含めた)の確立

保管することが目的なのではなく、現場へ飛び出す機動力を高めるために管理する

顧問の口ぐせ:「さぁ行こう」

「さぁ行こう」のとき、ストレスのない体制

いつでも取り出せるテープ、充電されたバッテリー、クリーニングテープ

管理するとは、「名前をつけ、リストを作り、片付ける」ことである

「片付けは(後始末ではなく)、次のプロジェクトの最初の行動」である

3.2.1 落とし物、落とし物、忘れ物、探し物は事故のもと、労力の無駄
3.2.2 移動・運搬方法を考える

高性能で良い物でも重くて嵩張れば運べない

生徒の交通手段(自転車・バス・電車)で搬送できる形状・梱包

  • 移動撤収の際に忘れ物をしにくいパッキング
  • 取材現場でお荷物の展開の方法も訓練する(訓練は、学外に出かけるスタイルで)
  • 実践的機動力をどう確保するか(そうでなくても生徒は余計な荷物を抱えている)
3.2.3 機材や用品に名札ラベルをつける
  • 各機材、用品等に細かくテプラなどで明記する。
  • 同じ機材(ex.バッテリ等)には通し番号をつける
  • 学校の連絡先(住所・電話番号等)もできるだけ明記
3.2.4 機材リストを作る
  • 取扱説明書や保証書は一箇所に集めて管理する
  • 高価な機材は製造番号を控える(紛失後の探査にも有効)
  • 購入価格を記録して生徒にコスト意識を持たせる(生徒も予算管理に参加させる)
4.時間と作品を大切にする(文化を形成する)
4.1時間・日程を守って有言実行する
4.2収録した素材(データやテープ)の紛失や誤消去を防ぐ習慣いつどこで何を収録したものか表示(記録)する

テープ:誤消去防止ツメを「SAVE」にする習慣づけ

カメラに入れる前にラベルをつける習慣を

データ:二重三重のバックアップをとる

外付けHDD、BDなどに

4.3 作品のパッケージ/ポスター/チラシを作る
5.フィードバックから学ぶ機会を多くもつ

練習/実作/フィードバックの機会を増やす

経験値を高める/番組制作体験の数を増やす

  • 簡単で短い練習から、複雑で長いものへ経験重ねる
  • 短い作品(数カットからなる1分に満たない程度のもの)から初めて、長い作品へと訓練と体験を積んでいく
  • 短い作品でも、その中にNGカットが(ほぼ)ないこと
  • 短いなかでも、映像と音声の構成があるものを作る
  • 身近な教材やお手本から学ぶ(先輩や高校生たちの作品が一番の教材になる)
  • NGから学ぶ、NGの教材をたくさん残しておく
  • プロジェクトは最後まで完遂させる
  • 出来が悪くても一度はとにかく完成させる それから作り直す

試写・発表・修正 そして成長

  • 練習はいくらやっても練習
  • 実作をし、失敗することからしか学べない
  • 間違いはないか/わかりやすく伝わるか
  • 取材の協力者や関係者の声を聞く
  • 第三者からの評価に耳を傾ける
  • 修正したり、フィードバックを次回作に生かす
  • Nコンだけでなく、さまざまな機会に応募
    (主催者もジャンルも長さも異なるコンテストにもいろいろとチャレンジしてみる)
  • 自分が落選していても発表会に参加する
    いろいろな作品を見比べたり話しをきく

Ⅲ.映像表現の基礎

必要な機材をそろえ、正しく使い、性質をよく知っておくこと
~“とる”は「撮る」と「録る」である~

1.カメラ カメラの何を操作するのか

オート/マニュアル機能を適宜使い分ける

いつどの機能をマニュアル操作するか、使えるようにしておく

ビューファインダーと液晶パネルを使いわける

液晶パネルは屋外では使いにくい/ビューファイダーは視度調節を忘れない

1.1 フォーカス ピント

「被写界深度」という概念で理解する

=ピントがあっているとみなすことができる「深さ」

絞りを絞ると被写界深度は深くなる

絞りを開けると被写界深度は浅くなる

画角が広角だと被写界深度は深い

画角が望遠だと被写界深度は浅い

イメージフォーカス(CCDやフィルム)が大きいと被写界深度は浅くなる

携帯ではピンボケが生じにくく、一眼レフでは背景をボカシやすい

オートフォーカスを上手に使う

縞模様(本棚やブラインド等)に弱い

マニュアルフォーカスでは、撮りたいものを最大アップにして

ピントをあわせてから適切な構図に引く

広角だとすべてにピントがあっているように見える(広角からすぐアップにするとボケることが多い)

1.2 ズーム 画角とパースペクティヴ

画角:画面の見渡している角度(正しくは対角線画角)

広角 ワイド(w):広く撮れる

望遠 テレ(T)狭角:遠くのものが大きく撮れる

曖昧な指示:「大きく撮れ」=広く撮れということ?アップにしろの意味?

的確な指示:「寄る」「引く」

ワイドコンバージョンレンズ(ワイコン)は必需品

画角の違いで遠近感(パースペクティヴ)が変る

広角遠近感(パースペクティヴ)が強い

望遠 遠近感(パースペクティヴ)が弱い

ズームで「寄る」のか、カメラ位置が「寄る」のかでは違う

画角(正しくは対角線画角のこと)

広角(広い)標準 望遠(狭角)

遠近感(perspective)

広角(遠近感が強い)望遠(遠近感弱い)

広角レンズ

カメラの場所から広く撮れる

  • 被写体を大きく撮るには、近づく必要がある
  • 被写体はカメラを意識してしまう
  • 躍動感や主体感が生まれる

ピントがボケにくい

手ブレが目立ちにくい

  • パースペクティヴが強い(近くのものは大きく/遠くのものは小さく撮れる)

望遠レンズ

離れた場所から大きく撮れる

  • カメラを意識させずに撮れる
  • 静的で突き放した雰囲気が生まれる

ピントがボケやすい

手ブレが目立ちやすい

  • パースペクティヴが弱い

(近くのものも遠くのものも、あまり大きさが変わらずに撮れてしまう)

遠くから望遠で大きくして撮るか、近くに寄って広くして撮るか

広角(背景が広く撮れる)望遠(対象をクローズアップできる)

背景や状況との関係をどのように見せるか

広角:背景の状況がよくわかり被写界深度は深い

望遠:被写界深度を浅くし対象を浮き上がらせる

ズームとフォーカス

マニュアルフォーカスの場合:撮りたいものを最大アップにし、ピントをあわせてから適切なサイズに引く

広角だとすべてにピントがあっているように見える(広角からアップにするとボケること多)

望遠で撮ると

被写体が大きく撮れる/手ブレが目立ちやすい

ピントがボケやすい/背景がボケて主体が浮かび上がる

カメラが離れていて自然に撮れる/カメラとの間に邪魔が入る

パースペクティブ(遠近感)が弱い)

広角で撮ると

被写体を大きく撮るには、近づく必要がある

ピントがボケにくい/手ブレが目立ちにくい

被写体はカメラを意識してしまう/躍動感や主体感がある

パースペクティヴが強い(近くのものは大きく/遠くのものは小さく撮れる)

1.3 露出

露出=画面の「明るさ」に直接関わる

露出の3要素

感度(ゲイン)+(ここではNDフィルターも)

露出時間(シャッター速度)

絞り(アイリス)

オート露出でいい時もあるが

逆光や明るい背景の時は人物の顔が暗くなってしまう

単に「明るさ」のマニュアル調整だけでも効果あり

いざというときには「逆光補正ボタン」も使える

露出が適正でないと

露出アンダー露出オーバー

カメラの「オート露出」には限界があるので、マニュアルで操作できるようにしておく

液晶パネルでは露出がわからないことが多い(特に屋外では)ので

ビューファインダーでよく確認する(ビューファインダーの視度調節を忘れずに)

1.4 色温度(単位:ケルビン)

ホワイトバランス:オートにまかせるか、マニュアルで調整するか

マニュアルでは画面一杯に白紙等を撮り、それを白だとカメラに認識させることで、その場所の光源の色のもとでの正しい発色の撮影ができる

太陽光を白色とすれば、白熱電球(タングステン電球)は赤く、蛍光灯は緑(ほか)である

白熱電球を白色とすれば、太陽光は青い

晴天の日を白色とすれば、曇天の日は青い

  • 現実の多くの場所はカクテル光/状況に応じてWBをとる

ホワイトバランス(WB)をとる(オートでもマニュアルでも)ということは、

カメラにその場所の色温度を認識させ、人間が頭の中で描いているような発色をさせること

2.三脚
2.1 三脚操作の基本
  • 脚と雲台(ヘッド)
  • 組み立てと収納、搬送の方法
  • 石突きの使い方
  • カメラとのバランス調整
  • 振動を伝えないv.s.遊びを持たせ常に微調整
2.2 三脚と手持ちの切り替え
  • 手持ち時のホールドの仕方
  • ビューファインダーに目をつけて安定させる方法
  • 目から放して液晶パネルに移行する方法
  • 手持ち撮影~さらに移動撮影
  • カメラの「ふわふわとした」ハンドリングのコツ
  • 腰の入れ方、すり足の仕方、手首のスナップ
3.カメラワーク

カメラ(&画角)が動かないカメラワーク:

フィックス、フォーカス、フレームイン・アウト その他

カメラが動くカメラワーク:

パン、フォローパン、スィッシュパン、ティルト、ズーム、ドリー(移動)、クレーン

…それぞれの「意味性」を理解する

三脚使用、フィックスが基本(失敗しにくい)

フィックスとフォローが基本 (フィックスが基本、フォローはそれに次ぐ基本)

手持ちで振り回すカベ塗りパンは番組に使えない

下手な例、使えない例を皆で見て教材にする

ビデオカメラは手持ちができるように作られている

しかし、手持ちで作品に使える絵を撮るのは至難・経験が必要

基本はフィックス。ただし、頑迷に固定して撮ればよいわけでもない

カメラを動かしたいときは

なぜここでパンを使う必要があるのか考えて行う

「スタート」と「エンド」の構図を決める

撮影者の体の姿勢を整える

フィックス-サインカーブで加速し減速する-フィックス

“パン”はできるだけ“フォローパン”になるように、歩く人をフォローパンする・人に歩いてもらって状況を説明する

フォローパンは被写体がカメラの前を通り過ぎるとき加速する

(角速度と線速度の違いを理解する)

ズームだけでは使う機会は少ない

特にセンター・ズームは滅多なことでは使わない

パン・ティルト・ズームを同時に行う(カメラワークの腕を鍛える)

「9マス練習法」黒板に3列3行のフレーム1~9を描き、ある番号から番号へとパン・ティルト・ズームの練習をする

4.照明

見えるべきものを(自然に)見せる技術

3点照明(キー、フィル、タッチ)+ホリゾントが基本だが、ドキュメンタリーでは、現地にある光源や光の状態を活用

光のある場所で撮る(照明の難しい場所を避ける)が基本

照明の難しさと楽しさを知る

  • 使いやすいハンディライトなどを組み合わせて使う
  • ビデオでは、ただ煌々と照らしても不自然になりやすい
  • 真正面-トップライト-逆光 それぞれの難しさを知る
  • バウンス光を活用する(被写体と反対側の壁を照明)
  • レフ板や白い紙・板はとても有効
  • 蛍光灯や水銀灯のフリッカー(ちらつき:シャッター速度を調整100分の1シャッター速度で多くは解決)
  • 暗くするのも照明の仕事

3点照明 初心者はとりあえず3方向からのライティングと考えてよい

  1. キーライト メインとなる光源で形をつくる
  2. フィルライト キーライトの影を和らげる
  3. タッチライト 立体感や質感を出す

最近ではLED式のハンディバッテリーライトや蛍光灯照明を使って

ビデオ撮影に適した柔らかくて自然なライティングが可能に(蛍光灯照明の自作例などがインターネットで紹介されている)

携帯が可能な柔い材質のレフ板なども役に立つ

(本来は剛性でないと動画には向かないが、揺れないように注意深く使えば有効

5.録音
5.1 マイクの基本を知り正しく使う

マイクの機能や性能、性質をよく知る

原理と構造の違い エレクトリックコンデサマイクとダイナミックマイク

指向性 無指向性、単一指向性、狭指向性

電源供給方法 電源要不要、ファンタム電源・プラグインパワー

種類・形状 ハンドマイク、ガンマイク、タイピンマイク

有線・無線 有線マイク、ワイヤレスマイク

付属品や録音用品を使いこなす

マイクグリップ、ブーム、ジャマー、ケーブルなど

規格や特性をよく知る

出力、イコライザ、マイク径、マイクスタンド径など

5.2 発言や状況を明瞭に録音する

カメラ内蔵マイクは使わず、外部マイクを使う

  • 可能な限り撮影とは別に録音マンが担当する
  • ヘッドフォンで聞きながら録る
  • マイクはできるだけ近くに置き、音源に向ける
  • ノイズの混入や発生を防ぐ

適切な風防:ハンカチ、ジャマ-、ムートン

マイクの握り方:マイクブームは威力がある

スタッフのたてる声にも注意が必要

6.編集 編集は新たな創造だ
6.1 ノンリニア編集機の機能を使いこなす

シーケンス毎に編集をし、シーンとシーンをつなぎつつ編集することが望ましい

(そこそこのスペックのPCでないとストレスの多い編集になる・・)

6.2 映像の編集

絵とナレーションを一致させながら/ちぐはぐな絵はストレス

  • 仮ナレーションを録音し、これに絵を貼っていく作業だとスムーズ

編集作業に入る前に仮にでも最後までシナリオを書く

設計図(シナリオ)なしに家を建てる(編集する)のは無謀で無駄

  • マッチショットとジャンプショットの違いを意識
  • カットの長さ ドキュメンタリではあまり短いカットだと落ち着かない(1.2秒以上は必要)
  • 編集ソフトのイフェクトを多用しすぎない

フェードイン(F.I.)、アウト(F.O.)、ディゾルブで十分であることが殆ど

露出や色をフィルターで見やすく修正する

6.3 音の編集

ナレーションとインタビューの‘聞こえ’を第一に考える

ナレーションは1日で録音する(日をかえると調子が合わない)

ナレーションの間やピッチも編集する(スピードコントロールを使ってもよい)

ナレーションもステレオで録音する(まろやかさ、温かさが出る)…これは好み

現場の生の音の雰囲気や迫力を活かす

臨場感を失わずに場の雰囲気などを表現をする

音の連続性に注意して編集する

状況がわかる音も録っておく=音を録っているときはスタッフは黙る

現場音と編集で当てる音(ナレやBGM)とのバランスが命

音と絵は「時に一体」、「時に別々」のものとして編集する

音のズリ上げ・ズリ下げ・こぼし:ドラマでは、前のカットの音を、次のカットに「こぼす」ことでスムースなつなぎができることが多い

オーディオフィルターを適切に使う イコライザ、パンポット、ノーマライズ背景の音も聞かせるか絞るか考えて調整する

ノンリニア編集機上の絵と音の編集方法

1本のV&Aトラックで絵も音も編集する方法が一般的だが

複数のV&Aトラックで絵と音をズラしたり重ねたりして編集すると作品としての完成度が高まる、むしろこちらが基本である

6.4 音楽の編集

フリー音楽集の活用/BGMでメリハリをつける/盛り上げるところは盛り上げる

音楽そのものを編集し、とくに音楽の尻と番組の尻を合わせるのが効果的

BGMで素材を台無しにしない/音楽はなくても良い

6.5 テロップの編集

字体、色、縁取り、マットなどの工夫、長さ

しゃべり言葉は全部字幕にするのではなく要約で

耳で聴くだけでは判りにくい言葉・専門用語等はテロップで示す

6.6 図表やイラストの作成と利用

必要に応じ図表やグラフ、イラスト等を作成して使用する

小さな文字を詰め込まない/ 「セーフティゾーン」内に収める

6.7 編集に要する時間の管理/工程監理

多くの場合撮影よりも編集のほうがはるかに時間を要する

締切りから逆算して行程を監理する

マシントラブルや、修正のための時間も確保する

必要な機材

1 撮影機材(カメラ)&三脚

2 録音機材(外部マイク)&ヘッドフォン

3 照明機材(ハンディライト、レフ板)

その他撮影現場で必要なもの

  • ドキュメント類(シナリオ等)
  • 記録メディア(テープ、カード等)
  • 付属品:バッテリ、充電器、ワイコン、ケーブル
  • 搬送用品:カメラバッグ、三脚ケース
  • メンテナンス用品等:ヘッドクリーニングテープ、レンズクリーナー、ブロワー、暗幕
  • サプライ用品:筆記具工具文房具・懐中電灯
  • その他プロパティ:傘、ビニルシート、椅子等
  • その他、特機・操演・美術・衣装・メイク用品等

4 編集機材

PC+ソフト、TVモニター+スピーカ

必要なスタッフ

1 ディレクター (+AD) 2 インタビュア 3 カメラマン 4 カメラ助手

5 録音マン 6 照明マン(+照明助手) 7 記録係 8 編集

  • こう考えると映像制作には8人ぶん以上のスタッフの仕事があると考えておいたほうがいい
  • 実際にはこれらを1人~5-6人でこなすことが多いので誰が何の役を兼ねているのかをよく理解する
  • 自分の担当でなくても、口と手をだし、協力しあう

Ⅳ.映像表現の基本概念

1 カット(ショット)とシークエンス

カット カメラの収録がスタートして止まるまで

(クリップ:PCの中での一続きの動画データ=カットと同じことも違うこともある)

・カットのつなぎ方にはマッチカットとジャンプショットがある

ドラマでジャンプショットは避けるべき、ドキュメンタリでは場合による

シークエンス 番組中の一つの場所や状況

通常、幾つかのカットが集まって一つのシーンとなる

なぜカット(ショット)は必要なのか

現実を区切りって取り出すことで、現実の本質や真実を可視化する方法

監視カメラの「記録」と、作品としての「表現」は違う

表情や体温が表現できるようにカメラは動きまわる必要がある

2 カメラユビキティ

カメラはどこにでも存在でき、かつ、どこにも存在しない

カメラは物語を物語るために、最も適切なポジショニングを行う(行わなければならない)

原理1 カメラはどこにでも存在でき、かつ、どこにも存在しない

原理2 カメラの存在は、物理的な制約を受けない

原理3 カメラは出演者にとっても無きものである

原理4 カメラの視点は観客の意識の視点、すなわち物語の視点に一致する

3 イマジナリーライン

カメラをどこに置いてもどこから撮ってもいいか?

イマジナリーライン:登場人物の間にひいた仮想線

このラインを越えない場所にカメラを置くことで、場の全体と登場人物位置関係を混乱させないことができる

イマジナリーラインは、金科玉条ではない

(ことにドキュメンタリでは)

4.サイズとアングル
4.1 サイズ

ロング-フィルフィギュア-ニー-ウエスト-バスト-アップ-クローズアップ

寄る(アップ側)、引く(ロング側)…ズームでも移動でも

曖昧な言葉「ズームする」→正確に「ズームアップ」、「ズームバック」

曖昧な言葉-ミドルショット(ロングよアップの間…曖昧だが便利でよく使われる)

4.2 アングル(ローアングル-ハイアングル)

高さのアングル

ハイ-目高-ローで

4.3 サイズとアングルを変えながら撮る

正面から-右から-左から

ロングで-ミドルで-アップで

カメラ(三脚)の高さを的確に変える

5.構図
5.1 的確な「構図」で情報を整理して伝える

構図が伝える情報-その意味や感じ

  • 被写体の大きさ(サイズ)
  • カメラの位置(アングル)=カメラの場所・高さと角度
  • 被写体と背景(バランス)=構図における情報整理力

構図における情報整理力

主体となるものが、どういう状況に置かれているのか、構図の中で示す(ドラマとは「状況との葛藤」である)

場所(周囲の状況と被写体)/名称(看板など)

時間や季節/周囲の状況(人出や車の通り)

大きさ(人との対比など)

5.2 被写体:主体と状況

構図とは「フレームの中の情報整理術」

  • 画面の中心から周囲まで見渡して「ノイズ」になるものを引き算する術
  • 奇異な印象を与えない(頭の上を電柱が突き刺しているような構図にしない)
  • フレームであることを意識させないフレームづくりをする
  • 物語が伝えようとしているものに寄り添ったフレーム

取材対象に近づかないうちから撮ることも懸命な方法

スタッフや機材(三脚など)が映りこまないほうが好ましい

5.3 バランスのとれた構図でハリのある「絵」を撮る
  • 正対した構図(均等のバランス)
  • 左右のバランス(斜めにしてリズムのあるバランス)
  • 前後のバランス(奥行きのある構図、手前に「ナメる」構図の作り方)
  • 動きのバランス(動画像と静止画像のバランスは異なる)
  • 動くもので演出する構図
5.4 人物撮影の基本(ウエストショットより寄る場合)

基本1:目の高さ「3分1ルール」

人物の目の高さが、画面の高さの上から「おおむね3分の1」にあるように撮る

ここぞというところでは、頭を切るほどアップ:「3分の1ルール」は変わらない

3分の1ルールから外れるのは、その背景を見せたい時だと考える

頭の上が空くと不安定になる

頭の上が詰まりすぎても窮屈になる

基本2:目線の先の空間はあけ、頭の後ろをあけない

寄りのサイズは迫力があり説得力がある

寄りのサイズは、ピントも構図も難しい

相手は動く=カメラをゆるくフィックスしつつフォロー/手や体の動きも見逃さない

ロングインタビューでは2台のカメラで撮るのも効果的

表情がよく見えるように

適切な照明(基本的に順光)のもとで、適正な露出で撮る

(屋外だけでなく、室内でも注意。窓が背景のときなど)/カメラの場所や高さをこまめに変えながら撮る

背景の意味性を考えて撮る

寄っても引いても「3分の1ルール」「見ている方向を空ける」を守れば安定する

まとめ:ドキュメンタリーの取材力

目の前の出来事

その本質を観察して、これを他人に伝えるためには、自分が

何をすれば、どう行動をすればよいか、判断して実行する

状況と人物-人物と人物-の関係をわかるように撮る

そこはどんなところで、人物は何をして、誰と関係しているのか

どこで、誰が、いつ、何を、なぜ、どのように行い発言しているか

どこから撮ればよいのか

前に廻りこんで前から撮る(基本)

「前に廻りこむ勇気」を持つ その勇気の裏付けとなるものを持つ

サイズとアングルを変えながら撮る

迷ったら1正面/ロング-2右/ミドル-3左/アップ

カメラの場所や高さを適切に変えながら撮る(目高だけではダメ)

いつからいつまで(何秒)撮るのか

伝えたいところが撮れるまで撮る

迷ったら、1カットで10数える=音の連続性を録る

前に廻りこんで前から撮る

サイズとアングルを変えながら撮る

1正面/ロング-2右/ミドル-3左/アップ

1カットでは10数える

音の連続性をとる(撮る・録る)

会話が続いている途中でアングルをかえたいときは

音を連続させるため、カメラを止めずに、

カメラ位置をかえたり、サイズ・アングルを変えることはある

編集の際、音を生かして、絵は別アングルを上から貼る

物語りをつなぐ・転換するための’捨てカット’ ’雑感’も必要

対象に近づきすぎる前に場所の状況がわかるショット

季節や場所を感じさせるショットをとっておく

撮影日の間隔が空く時も、「自分は今、作品づくりに入っている」ということを忘れないで、周辺の状況をカメラに収めておく


Ⅴ.番組構成の方法と課題

映像番組制作の手順
例)5分のドキュメンタリー作品を作る場合(ニュースではなく)

  1. プレプロダクション
  2. プロダクション(取材・撮影)
  3. ポストプロダクション(シナリオ・構成・編集・仕上げ)

(4)上映(発表)とフィードバック~他者からの批評・感想から学ぶ

1 プレプロダクションにおける企画の方法

(リサーチと企画、ロケハン、シナリオ)

1.1 ドキュメンタリー番組に求められる3つのポイント
  • 正確であること
    間違ったり偏ったりした情報を発信しないこと
  • テーマ(哲学)があること
    作品を作り、公開する意味があること、社会的敷衍性のあること
  • エモーショナルな抑揚があること
    感動や面白さがあること
1.2 素材(テーマ)の発見、選択

テーマが大事というけど、それってどうやって見つけるの?

テーマってなんだろう?

個別の事象を通じて一般化・抽象化された哲学とか教訓とか利益とか

「大げさにいえば、これって人類全体にとってのこういうことだ!」

周囲に目をむけて素材やきっかけを探す

  • 家族や友人の口コミ、新聞の地域面や地域広報誌、インターネット
  • 部員を班にわけてアイデアコンペを行う
  • どういう作品にするか(ポイント)
  • 素材とテーマが悪ければ番組にならないと諦めるのも一法

料理の仕方、「切り口」「アイデア」を考える

高校生らしい切り口とアイデア/高校生らしさって?

作り手の姿が作品に投影される

  • 観客は作品を通して作り手(生徒や顧問)の姿を見ている
  • そこに共感や感銘が生まれる

テーマ:抽象性 哲学 社会性 意義

題材:校内 校外 催し 人物 事件 事物

切り口やスタイル:

裏側にある‘深いい話’を浮き上がらせよう

謎かけをして謎解きする

自分で体験してみました

これはびっくり

これってどう思う?

過去とこんな繋がりが!

この人は実はこんな人だったのか

やっぱり私はこの学校・町・家族が好きと納得

テーマがあり、それにふさわしい切り口やスタイルで番組にするだけでなく、

切り口やスタイルをもって素材にアプローチすることによってもテーマが生じる

1.3 アプローチとスタイルを検討する

その作品内容に様々な角度で関わる人にアプローチする

「関係者リスト-相関map」を作って誰にアプローチするか考える

「光」の当て方が多様なほど、その姿が浮かびあがる

関係性の開示

作り手を作品の中でどのように出現させたり感じさせたりするか

  • 作り手やナレーターが出てくるか・こないか
  • 作り手がどう名乗るか/私は、私たちは~と語るのか、語らないのか
  • 対象にどう関与しているか・してないか/それを明らかにするのかしないのか

主語は誰なのか

主語が全部、高校生でなくてはならない決まりはないハズ

「私は、この道端で二百年、人々の往来を見てきた地蔵です・・・」

1.4 実現可能性を検討する

その作品は実現可能なのか?

  • 自分たちの技量や機動力は、取材対象と噛み合っているのか
  • 実現性が乏しく実力と噛み合わないところからがアイデアの始まりである
  • 実現の方法を探ってテーマや対象を絞る/アプローチを変えることで、新しい切り口やアイデアが得られる
  • 大きなテーマの一部だけを抽出して象徴させたり、部分的なことや派生的なことに着目する
1.5 レトリックで番組を面白くし、そのねらいを明らかにする
  • レトリック(修辞法)とは

例:彼は酒を飲む&仕事ができるという二つの事実の併記は、ねらいが不明

「彼は酒を呑むが、仕事ができる」

「彼は仕事ができるが、酒を呑む」

この番組でいったい何を言いたいのか

  • 何をどう伝えるか、レトリックを正しく用いて、ねらいが伝わるようにする
  • 作り手(自分)の立場・考え方を明らかにする
  • Aがいい、Bがいい、AもBも両方いい(一長一短)
  • 第3者の意見も聞いて客観的に見つめ直し修正する
  • 最初のアイデアにこだわらず、客観的に突き放して再構成する
2.構成の技術
2.1 「KJ法」から「串ダンゴ」へ

要素を切断/小片にして(ポストイットに書いて)ボードに貼る/近接・類似のものをグループ化していく

ツリー構造に整理されることが多い→論文やレポートはこれでよいが「物語」にはなりにくい

長さやジャンルにもよるが一般的な5分程度のドキュメンタリーでは映像表現は「串ダンゴ」構造になる

  • セグメント(ダンゴ)を順番に並べて串を刺す(串ダンゴ)にする
  • 番組の時間は一方向だけに流れる(シーケンシャル)強制的冗長性をもった表現方法である
  • それぞれの節を「そこで」「いよいよ当日」「ところが」「実は」「思わぬことに」「意外なことがわかりました」などのターニング・タームで上手につなぐ(おしゃべり上手な人の話し方)

「串団子」の問題点や限界

  • 映像番組は、一方的な時間の流れに乗ったシーケンシャルな表現方法

構成の順番がメッセージそのものとなる

何をどういう順番で伝えるかが、かなり決定的

  • 映像番組は、一方的な時間の流れに乗ったシーケンシャルな表現である
  • ものごとを委細漏らさず正確に伝えることは苦手
  • 感動や感銘を与えたり、態度を変容させたり、審美性を味わうことには優れる
2.2スタイルとレトリック

A.「三幕構成」

スリーアクト・ストラクチャー(ビギニング-ミドル-エンド)

全体を三つに分けて構成する方法、アリストテレスに由来、ギリシャ劇的構成法

それぞれのターニングポイントごとに、物語がひとつ大きく展開

ストーリー全体、それぞれのアクト、それぞれのシーン、それぞれの言葉にも3つのアクトを設ける

大から小までスリーアクト・ストラクチャーの入れ子構造によってストーリーを構築

作品世界から観客を離さない 感情抑揚のコントロール(心電図)

B.「起承転結」

起承転結:4行から成る漢詩の絶句の構成

京都三条糸屋の娘: 起句 (唄の出だし)

姉は十八 妹は十五: 承句 (説明)

諸国大名は弓矢で殺す: 転句 (話が一転)

糸屋娘は眼で殺す: 結句 (話にオチがつく)

転句の「ひねり」がテーマとなり好まれる面あり

オチをつけるための仕掛け(上げといて下げるといった方法)

感情の抑揚・面白さが生まれテーマ性が生じる

  • 情緒的(非論理的)かつ作為的な方法ともいえる
2.3 ドラマティックな脚色

「序破急」・「起承転結」の物語構成への応用の例

       序   破   急
         /\ /\  /\
        起   承  転    結
       /\ /\ /\ /\
      発    展   葛  クライ   大        
       端    開    藤  マックス  団
                円

  発端 展開 葛藤 クライマックス 大団円(ドラマの場合)
刑事モノ 事件発生 捜査 暗礁に アリバイを崩す 解決!逮捕
恋愛モノ 出会い 仲良くなる 喧嘩、衝突 誤解、別れ 結ばれる
難病モノ 出逢い 発病 絶望 希望 治るか死ぬ
成功モノ 目標と挑戦 努力と喜び 挫折 克服、打開 達成!成功
  発端 展開 葛藤 クライマックス 大団円(ドキュメンタリーの場合)
部活動モノ 部活に入る 成果が出ない 仲間が辞める 徹夜で取り組む 文化祭で大好評
学校モノ 歩道に自転車 事故が発生 自転車通学禁止か 分離帯の提案 皆で整然と登校
地域モノ 美化に取り組む人々 メンバーは高年齢 若者が花壇を壊す 若者も運動に参加 皆が力をあわせて美化

「ドラマチック」に構成することの適否

○平凡なものごとに「葛藤」や「危機」を持ち込んでドラマを作っていいか

すでに終わったことを遡って原因・山場・解決を物語る術

火のないところに煙を立てるような

マッチポンプ・法螺吹・山師・扇動家の才覚

v.s.芸術家・時代の語り部・タレントの才覚(紙一重)

○ここで論理性や思考力が育まれるし、問題意識も目覚める

事件は現場で起きているが、作品は編集室で練られる

情報術は型(フォーム)に落とし込む(インフォームする)術

情報(インフォーメーション)とはある意味で、型に落とし込むことで伝わり、理解される性質がある

ステレオタイプ化でもあり、危険でもあるという問題意識も忘れないこと

3.ナレーション
3.1 ナレーションの文字数
  • 5分番組のナレーションの「文字数」は?
  • 1分400文字×5枚=2000文字
  • ナレーションで埋まった番組は絵と音に力がない
  • 映像番組とパワーポイントのプレゼンは違う
  • 映像が物語ることが大事

映像とナレーションのバランス

  • 少なくとも半分は対象の絵と音で勝負
  • ということは、400字詰×2.5枚で語りきる

=この中に構成やレトリックを盛り込む

3.2 文章表現と番組ナレーションの違い

短いセンテンス、耳で聞いて理解できる内容と展開

文章

N「『千葉市子どもたちの森公園』は、平成19年、千葉市若葉区源町の住宅街近くの林地を利用して開設され、通称「こどもり」と呼ばれて親しまれています。ここでは地域の有志メンバーが結成した『自然遊び若葉の会』が、公園の環境維持や運営に携わることにより、『自分の責任で自由に遊ぶ』というプレーパークのコンセプトを実現しています。」

番組ナレーション

N「『千葉市子どもたちの森公園』、通称『こどもり』」

N「千葉市若葉区源町の、住宅地の中に残された森の一角に、3年前、オープンしました」

N「公園の運営にあたっているのは、『自然遊び若葉の会』のメンバー」

N「公園の環境を支え、見守っている地域の有志の人たちです」

N「『自分の責任で自由に遊ぶ』、プレーパークの子どもたちの姿を追いました」

4.現場の取材力を鍛える
4.1 必要な素材を集める
  • ナレーションやテロップに頼らず、絵と音でねらいを証明するための証拠を集める
  • 現場でとってきた素材に力があれば、事実を淡々と伝えるだけでも良い作品になる
  • 後知恵や加工は(ナレーションや構成)は控え目でよい
  • 現場での撮影・録音技術を練習し、訓練し、鍛え抜いておく

映像に力がないのにナレーションが「すごい」「素晴らしい」と連呼しても白けるだけ

映像で説得する/説得力のある映像を見せる

A選手はすごい=その能力を映像で比較したり解析して見せる

B君は努力している=汗や苦しい表情、長時間の密着で見せる

C町のこれが問題だ=C町の人々の表情と言葉を聞かせる

  • ナレーションにふさわしい、噛み合った絵を見せる・噛み合わない絵は、観客には大げさであったりストレスであったりする
4.2 よい取材に必要なこと
  • 現場に行って事実をきちんと見られること
  • 取材対象とのよき人間関係が構築できること
  • 挨拶・服装・態度・礼儀がきちんとしていること
  • ハナシが通っていること
  • 観察し、発見し、抽象して考える力があること
  • 時間をかけて密着すること
  • 現場での撮影・録音技術を練習し、訓練し、鍛え抜いておくこと(わかりやすく、力のある絵と音をとってくること)
  • とるべきものの前に出る度胸と愛嬌があること
4.3 現場における取材力

目でとる(撮る)

・大事なところに顔を向ける(発言者にカメラとマイクを向ける)

耳でとる(録る)

・話しの内容に耳をそばだて、反応する

口でとる

・事前に考え、現場でもさらに考え、

頭の中でナレーションを流しながらとる(撮る・録る)

“つぶやきながら”とる

足でとる(フットワーク)

現場に行く、居合わせる

観客の目と耳になってわかりやすくとってくる

=後ろ姿ではなく、前に周り込んでとる

対象に正面から踏み込む・踏み出す力

(好奇心・勇気)をふるってとる(撮る・録る)

鼻でとる

ここはもっと面白そうだ、というところに

鼻を効かせてつっこんでいく

顔でとる

取材先との人間関係を構築する

やってほしいことを「やらせる」風圧を備える

やってほしくないことを「やらせない」風圧も…

5. インタビュー
5.1 インタビューのスタイルと方法

用途や目的に応じたスタイルと方法を選択する

物事や心の本質に迫る「ロングインタビュー」

事実を証拠立て再構成する「トーキングヘッド」

人々の一般的な反応や感覚を示す「サウンドバイト」

インタビューの対象と周囲の環境の情報整理

(インタビューの背景)

5.2 インタビューの技術
  • 何をどういう順序で質問して何を聞きだすか(言わせるか)
  • 事実から抽象へと聞き出す
  • 過去から現在、未来への順番に聞く
  • 良いこと楽しいこと、問題なこと苦しいことを聞き出す。
  • インタビュアーの聞き出す力(演技力)が大事
5.3 インタビューで聞き出す

(語ってもらう・言わせる)もの

  • 最終的に社会的敷衍性を導き出す、そういうキーワードを仕込んでおいて相手に言わせる
  • 最後、「あなたにとって○○とは」ともっとも抽象的で一見つかみどころのない質問をする
  • 「深いい話し」を聞き出すなら、YES/NOでしか回答できないような質問はしない

例:「ステージに立って緊張しませんでしたか?」

→「しました」「しませんでした」としか返事のしようがない

「ステージに立った時、何を考えていましたか?」

→多様な返事が貰える

6. テンプレートを超えて
  • あらかじめ設定した物語りに添って材料を集めテンプレートに落としこんで作る番組制作は容易
  • 「構成」術は、ある種の型(テンプレート)に落とし込む(インフォームする)術である
  • 情報(インフォーメーション)とはある意味で、型に落とし込むことで伝わり、理解される性質がある
  • ステレオタイプ化であり、危険もあるという問題意識を忘れない

課題

番組は虚構なのか?

番組制作は事実に関わり歪めてよいのか?

「真実を浮き彫りする」のか、「事実を歪める」のか

番組を作ることじたいが事実に関与すること

事実に関与することで人間形成をしていこうとしている

作品に作り手の姿が透けて見えてくる

作り手の真摯な態度があれば、信に足る作品となる

(なければ虚しいものとなる)

作品をよくすることは、作り手である人間をよくすること

作品創作と人間教育

両者一体の学びの場:映像制作教育


講座4 「読みの基本と指導法 模擬審査」

講師 NHK放送研修センター日本語センター 特別専門委員 榊 寿之

最初に榊先生による朗読の公開レッスンを行いました。お二人の参加者に受講生役をお引き受け頂き、初心者向けと経験者向けのご指導を頂きました。初心者向けの教材は「杜子春」の冒頭です。以下のような点をご指導頂きました。

  • 出だしは間をとること。少しゆっくりめに。
  • 語尾を伸ばさない。文中の助詞に注意。
  • 声の距離感を4~5メートル先に置いて。
  • セリフは前後の文中にある言葉をヒントに表現を。
  • 部分強調やイントネーションのずれが起こらないように。

経験者向けの教材は「走れメロス」の中盤です。以下のような点をご指導頂きました。

  • 息を意識した読みを。
  • メリハリある組み立てを。
  • キーワードを意識して。
  • 口を使い過ぎると声が平たくなる。口の力を抜いて。

次に、アナウンス・朗読の模擬審査をおこないました。審査対象としたのは、NHK杯全国高校放送コンテスト57回大会の発表です。4人ずつの発表を聴き、審査後にグループ討議を経て、審査結果の比較、検討、観点の考察をおこないました。

榊先生からは、個々の課題や審査時の観点をお話し頂きました。アナウンスも朗読も共通点は「わかりやすく生き生きと伝わる」ことでした。そのためにアナウンスでは文章の構成、力みのない読み方、名詞部分をゆっくり丁寧に等のご指摘がありました。「名詞は普通に発音すると力を持つ。」とおっしゃった言葉が印象的でした。朗読では息を使った読み方が大事であること、文末に気持ちが入るのでその処理が大切であること、朗読部分の冒頭の一文が長いのは難しいので抽出に気をつけること等のお話がありました。準決勝課題文の読み方も比較でき、それぞれの読みの課題を理解することができました。

最後に質疑応答がありました。審査点数のつけ方についての質問に関しては、自分の基準を作りながら採点すること、その際には、聞き手に向かって内容を伝えているか、内容が届いているか、呼吸が自然で聞き手とのコミュニケーションが取れているかを観点として持つことが大切ではないかとご指導頂きました。

生徒のアナウンスや朗読を実際にどのように指導したらよいか、具体的な示唆を頂いた講座でした。


講座5 「番組技術と模擬審査」

講師 NHK制作局第1制作センター青少年・教育番組部 専任ディレクター 足立 圭介 先生

今回はまず、番組制作についての基本的なポイントを、足立ディレクターからお話いただき、その後57回大会のラジオ作品4本を試聴して、模擬審査を行いました。

それぞれ、以下に整理してご紹介します。


【番組技術】

Ⅰ初めに

〇番組作りに正解はないが、経験則はある。
〇制作・演出のスタイルは、時代と共に変化する。流行もある。

スーパー・ナレーション・BGMの入れ方など

〇技術の進歩が制作に影響する。

フィルム-ビデオテープ-デジタル化によってPC編集へ

ビデオテープでの編集には、劣化が付き物だった。だから、なるべく編集したくないという心理が働く。しかし、デジタル化で劣化の心配がなくなり、さらにパソコンでのノンリニア編集が可能になると、フレーム単位での精密な編集がいくらでもできるようになり「精度」があがる。その反面、少しのズレやノイズが気になるようになる。ハイビジョンの16:9の画面も最初は違和感があったが、すぐに慣れてしまった。


Ⅱ番組作りの流れ

〇NHKの制作フロー

プリ・プロダクション(取材-提案-構成-ロケ)

ポスト・プロダクション(編集-ナレーション・SE・BGM-スーパー-完成)

NHKの場合、提案の段階でA4一枚の提案票を提出する。すべての番組が、この一枚から始まる。その中に番組の「狙い」を5~10行で書くが、この量で伝わらないと、面白い番組にはならない。

提案(企画)のポイントとして気をつけたいのは、「事実」だけでは番組にならない、という事。「事実」だけならニュース。ニュースと番組の違いは、広がりがあるか、テーマ性があるか、共感を呼べるか、という点。

審査にも関わるが、「校内ネタ」「夢オチ」「近未来モノ」は“またか”、と思う。

〇役割分担

番組制作は共同作業

ディレクター・音声・撮影・照明・編集・効果・デスク・プロデューサーなどが、それぞれの立場で、面白いか、分かりやすいか、を考える。しかし最終的には、誰かの「好み」になる。

〇プロット(構成)を作る。

いきなり台本は作らない

ドラマとドキュメンタリーとは作りが逆

番組はいくつかの要素(ブロック)でできている。

ドラマの場合は、プロットができたらそれを膨らませて台本にし、映像を考える。

ドキュメンタリーの場合は、何が撮れるかを考える。コメント(ナレーション)を考えるのは最後。

テレビやラジオはリニアなメディアだ、ということを忘れずに。途中で一つ分からなくなると、後はすべて分からなくなる。だから、特に冒頭部分は重要。

また、複数のできごとが同時に展開するのは、作るのが難しい。

視聴者・聴取者は忘れっぽい。数分前の登場人物を忘れる。特にラジオは、登場人物を増やしすぎないように気をつける。

〇映像と音声

「写っている」ではなく「撮る」

意味のある映像を撮る。

  • 場所-ロング
  • 広さ-ルーズ、パン
  • 関係-パン
  • 注目-ズームイン
  • 発見-ドリーイン

ドラマの絵作りは、他の作品をまねて良い。面白いと思ったドラマを分析してみる。

マンガもアングルを考える参考になる。コマの大きさはカットの長さとも言える。

音声は決定的に重要なもの

テレビでも、音さえ録れていれば、番組は成立する。

現場の音、自然音をたくさん録っておく。

人は、「ノイズ」を聞こうとする。インタビューの際は気をつけて。

「聞きながら」撮影する。

撮影(ロケ)は取材でもある

ドラマの撮影時間は、番組の尺の1.2~1.3倍。

ドキュメンタリーの場合は、番組の尺の20倍

ドキュメンタリーでは、現場での発見を最大限に生かして、構成表(台本)以上のものを作る。

〇編集

構成は編集室で変化する

付箋紙を利用して、並べ替えをしていく。KJ法などを応用する。

撮影した順番にならなくても、総体として嘘のない番組にする。モラルが問われる。

番組の印象は冒頭で決まる

印象的なシーン、面白い映像で、導入部を作る。(つかみ)

テーマ・人物をコンパクトに紹介する。

ナレーションではなく、現場の音で入るのが効果的。

映像編集のポイント

クレショフ効果(映像は、並び方によって意味が変わる)を意識する。

カット編集を基本にする。

ワイプやディゾルブは、つながらないものをつなぐ手段。

ホワイトアウトやブラックアウトは、仕切り直し。

いきなり番組の尺にしないで、まず並べてみる。話が破綻しないように、削っていく。

〇ナレーション・SE・BGMの注意点

ナレーションの基本

15字×3行で10秒程度が聞きやすい。

形容詞、形容動詞はなるべく使わない。映像で伝わる。

「こそあど」言葉は使わない。耳で聞いて分かる表現にする。

数字の羅列も、分かりにくいのでやらない。

「間」が大切。視聴者・聴取者に、考える時間を持たせる。

余韻を大切にしよう。特にラジオは、落語を参考にしたい。

SE・BGMは難しい

どちらも音量レベルに注意する。

BGMについて

  • 「悲しいシーン」≠「悲しい音楽」
  • 登場人物やシチュエーションに対して、テーマとなるフレーズを決めておくと分かりやすい。
  • BGMは完奏させる。そのために、曲の終わりの方を使う。
  • シーンの終わりと曲を合わせる場合と、シーンをまたいで使う場合とでは、効果が変わる。
  • フェードアウトしてフェードインする時、間に隙間を作らない。直線ではなく、山なりに変化させて、隙間を作らないようにする。

SEについて

  • 漫画的な効果の付け方はマイナス。
  • 現場の音や自然音を有効に使う。
  • 無音も効果的。
〇スーパーの入れ方

スーパー(字幕)の基本

4秒あれば読めるが、6~7秒が基本。

基本的には、カットイン・カットアウト。

エフェクトを使っていろいろ細工するのは逆効果。

フェードインは注目させる効果が強い。


Ⅲ終わりに

〇中学生・高校生だからこその作品を。
〇社会問題にトライしてもらいたい。
〇テレビ・ラジオ・映画など、多くの作品に触れるようにしてほしい。
【模擬審査】

(各班発表のまとめ)

  • 専門家に尋ねるのはよいが、それがすべて正しいとは限らない。
  • 難しい問題に挑戦したのは良かった。
  • 取材力、どれだけ足を運んでいるかに注目した。
  • 番組としての山の付け方を考えた。
  • もっと爆笑できるような展開、緊張感のある作りができたのではないか。
  • つかみがよくても、発展がない。
  • 主人公に共感できない。
  • なぜドキュメンタリーにしなかったのか。ドラマなのかドキュメンタリーなのか分からない。
  • 誰に向けて作っているのか。ハッキリせず、全体像がぼやけた。
  • 素材の生かし方を考えた。笑えない点もあり、シリアスにしても良かった。
  • 音に注目して作った点は評価したい。
  • 掘り下げが足りない。構成には工夫があった。
  • 作り慣れているが、冷静に考えると伝えるものがない。
  • 暗い話題を明るく作品化したのは良かった。
  • 心に訴える作品。インタビューはよくできている。どちらも構成が弱い。
  • テーマやメッセージはしっかりしていた。
  • 音の技術の上で気になる点がいくつかあった。

(足立ディレクターから)

〇ラジオドキュメント作品

作品1について

  • 構成力で得点を高くした。しかし、内容的にはあまりない。
  • 「幼い頃の記憶」-「母への感謝」という展開は跳んでいて、聴取者は分からなくなる。
  • 作り慣れているが、最後のコメントには疑問符が付く。

作品2について

  • 素材はよく録れている。
  • 話が展開していかない。虫の鳴き声だけで終わってしまった。
  • 「自然とのふれあい」というラストコメントは、実は出発点。振り出しに戻ってしまった。
  • 心理学の先生へのインタビューが使えていなかった。
  • 「~してみませんか」という終わりは、ドキュメンタリーに合わない。
〇ラジオドラマ作品

作品1について

  • これはドラマではなくコントではないか?
  • 主人公の気持ちに入りこめない。
  • 工夫してある。

作品2について

  • タイトルが良くない。主従どちらも抽象的。
  • ドキュメンタリーが良かったのか、ドラマが良かったのか。おそらく、ドキュメンタリーにしたら、面白くない。夏にNHKの地方局が粗製濫造するようなタイプ。
  • 長い時間をコンパクトにまとめるのは難しい。
  • こういう挑戦はあって良い。
〇共通して
  • どちらもテーマが絞り切れていない。
  • ドキュメンタリーは構成で何とかなるが、ドラマはすべてを作らないといけない。

最後に、会場からの質問に答える形で、以下のことをお話していただきました。

  1. 展開が跳んでいるところは構成がうまくいっていないということなので、構成の別案を思いついて、審査の時にそれを考慮するのは、ドキュメタリーの場合には良い。
  2. 「オリジナリティ」は、ドラマの原点なので、作品にそれがないのはおかしい。しかし、では「オリジナリティ」とは何か、ということになると議論は尽きないので、この場では話題にはしない。ただ、「オリジナリティ」は演出に表れる。
  3. ドキュメンタリーで再現映像を利用することはあるが、極力減らすのが鉄則。NHKでは、必ず「イメージ」という文字を入れる。
  4. それらしいSEの作り方は、専門ではないので答えられない。インタビューではなく、音を録音しに行く「音ロケ」をする。それが耳を鍛えるのにも役立つし、録音したものをストックしておいて、番組に利用する。
  5. ドキュメンタリー作品1は、出産経験のある者からすると当たり前な感じで、コンテスト時に平均10点もの差が出る理由が分からない、という点について、作品を辛口に批評すると作品1も作品2も、構成的にはできていない。ただ作品1は、技巧の部分で優った。この会場でほとんど点差がなかったのは、内容的にはあまりない、ということを会場の皆さんが見抜いたということではないかと思う。

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