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イベント情報

「NHK介護百人一首2018」作品紹介

「NHK介護百人一首2018」へのたくさんのご応募ありがとうございました。
寄せられた短歌12,234首の中から選定された100首をご紹介します。
掲載内容は平成29年12月時点の情報に基づいています。

作品検索

作者一覧

青木 彩佳
何もない場所を指さし話し出す私も見たいなあなたの世界
伊川 コメノ
部屋にある自立の文字を思い出しエレベーターの握り棒放す


磯崎 雄一
ちょっとした段差が道に横たわるまるで富士山登るがごとく


市川 松代
独り居の部屋の柱の古時計止まず動けり夫(つま)亡き後も


伊藤 フサ子
一つずつ忘れるごとに晴れ晴れと口笛吹いて徘徊(はいかい)にでる


猪瀬 さと子
今日デイに行きたくないと母が言う不登校だった昔の私


岩田 幸子
縄をなうしぐさ見つめる老女ありいつの間にやら仲間入りする
内田 しず江
あの時が最期の食(じき)とわかりなば栄養剤を飲ませぬものを


漆原 萩枝
夜中にも手を借りる子を案ずればいたずら顔で「会社で寝るさ」
遠藤 カオル
こんなにも太き指かと盲(めしい)ゆく父の手つつみ湯呑(ゆの)み握らす


遠藤 良子
身じろぎもせずに眠れる夫(つま)のためエアコンの風に風鈴つるす
大澤 つる子
在宅で幸せ見つけ逃がすまい必死に生きた夫婦の時間


岡田 憲子
溜(た)まりたる憂さの捨て場所ここにあり歩いて百歩椅子ある八百屋


岡本 初美
老後にと節約はげむ母八十路(やそじ)何歳からが老後というの


小木曽 熙
クリームをぬる指先に心込めこれまでの苦労のシミシワ追い出す


小野 篁
横断中コケた!起こせん!!信号変わる!!!端まで転がし2人で泣いた
兼築 信行
デイケアに初めて向かう母の手に庭の紫陽花(あじさい)切りて持たせつ


鎌田 幸代
若き医師「明治の人は初めて」と言いつつ聴診器の音に聴き入り
菊田 真喜子
背中流す鏡にうつる私見てアンタ太ったネはないよ母さん


北河 延子
車椅子の操作覚えた夫(つま)笑顔我を目指して急ぎ寄り来る


北澤 実夫
日も暮れた残り少ないこの道をかたく手を組む背に茜雲(あかねぐも)
葛岡 昭男
背を摩(さす)るだけの介護となりし時はじめて岳父と心通えり


久保田 鶴子
「福は内」言いて撒(ま)きしや独り住む父の家居に大豆散りぼう


黒澤 隆子
胃ろうにて命をつなぐいとし子の好きなケーキをみるも悲しき
小池 是
炎天に母の行方を捜しつつ自販機のお茶二本求める


小関 あい
折り紙の指の動きのもどかしさ卒寿の我もデイでは童女


小長 玲子
もの言えぬ夫(つま)に寄り添い話しかけすれば眼球動いた気がする


小林 敬
リハビリの夫(つま)の散歩につきあいて万緑の中初蟬(はつせみ)を聞く
酒井 和代
ヘルパーが掃除に来る日は忙しい身支度をして片付けて待つ


坂本 和真
うるさくてうっとおしいのが僕の母そんなあなたに戻ってほしい


鷺沢 月子
お迎えは雲か牛車(ぎっしゃ)かリムジンか終活済まし夢紡ぐ日々


佐々木 弘子
ほほえみの山形美人の介護士の訛(なまり)ほのぼの温(ぬく)もりつたう


佐々木 美知代
その都度(つど)の別れがとても大切な百歳の父遠く手を振る


佐藤 節子
点滴棒家来のごとく引き連れてたったひとりの殿様道中


佐藤 民子
和やかに対局終り一礼し松葉づえつき碁敵(ごがたき)帰る


佐藤 とき子
坂道をばあ頑張れと前になり後になりてひ孫介護士


佐藤 扶美子
あの人に抜かされたから抜き返す百三歳の静かな闘志


佐野 利典
車椅子駅のホームの端来れば渡し板持つ笑顔の駅員


沢田 栄子
桃までも危険な物になっちゃった皮むかぬ母皮出せぬ父
澁谷 博子
入院の夫(つま)の干し物木犀(もくせい)の枝につるして移り香とせん


清水 勝
ページ繰る指の自由を奪われし我は小声でめくるを頼む
杉田 愛実
キラキラな指輪が似合うおばあちゃん女子力負けた十八歳の私


鈴木 捺未
真夏日にマフラー巻いたおばあさん行き先過去の真冬のお見合い


鈴木 幸美
父が言う酒と女は二合まで真顔で母にブラックジョーク
関 博康
「深夜便」ラジオ雑誌積む枕元寝息やさしい夜の巡回
高岡 淳子
お笑いに転げ回れる障害をもつ子は月のように明るし


髙梨 みかん(ペンネーム)
手にかける想像しては空見上げあの日乗り越え今ただ愛(いと)し


髙見 美由紀
祖父の死にケンカばかりの祖母なみだ私も行くと小さき背中


髙本 智宏
紙オムツ「わしは嫌だ」と最後まで要介護の父褌(ふんどし)を締め


田村 姓子
我よりも母を知りいる介護士に委ねて帰る富士を背にして


田村 孝子
老母(おいはは)の文字ティッシュの箱にあり生年月日の走り書きなり


田村 鶴江
うたた寝の古稀(こき)なる夫(つま)に寒かろと百歳の母しきりに起こす
千葉 由美
蒲公英(たんぽぽ)の花咲きしかと問う父に携帯かざして春届ける日
辻田 早代美
長生きは九十三で十分と入棺体験ことわりし母


津田 洋子
目を閉じていても桃の実分かるらし小鳥のように口開ける母


綱嶋 宣子
病院へ移りし後の姑(はは)の部屋「世話になった」と走り書きして
手塚 いづみ
搔痒(そうよう)の有無をも言えぬ母といてその意をくもうと瞳見つめる
中川 啓子
無事夜勤明けて帰れば睡魔きて我は眠れる森の倒木


中嶋 綾音
話しても言葉返らぬおじいちゃん唯一の会話アイコンタクト


中島 セツ子
DVの恐(こわ)さも過去のものとなり今また愛(いと)しレビーの夫(つま)よ


長島 潔子
また鳴ったトイレを知らせるメロディーに登った階段かけおりる夜


中田 毅
妻が病むベッドの部屋に西の陽(ひ)が家族の写真照らしてくれる


中野渡 葉子
Jアラート鳴って急いで家に行き母を抱きしめ薄さに気づく


中村 暁子
気づいたよ伝わってるよ言えずとも五回まばたき手合わすしぐさ


中村 弘女(ペンネーム)
ケロイドの全てを見せて介護享(う)く空爆を経て七十二年目
西出 和代
元部下は有難きかな九十を過ぎたる父を役職で呼ぶ


西松 紀人
腰痛にならないように介護するフル活用だボディメカニクス


西元 静香
いつしらず身につきし母の哀(かな)しい癖千円札をちさく小(ちい)さくたたむ
橋本 幸子
ポータブルトイレ置きたる我が部屋の臭い消さんと香を焚(た)く朝


林 穂光
また一つ心のアルバム消えていく神様どうか時間を止めて
樋口 政光
愚痴を言う相手がいない独り居の石油ストーブに湯が沸いている


廣瀨 由美子
ついに手を上げてしまった我を責めわたしを捨てに行く場所さがす
VU THI THU TRANG
異性への入浴介助恥ずかしい笑顔を見ると気にならない


福井 陽子
初めての一人旅なり乗り換えの介助を頼み「はくと」と「のぞみ」


藤井 美惠子
リハビリに母が左手で描きたる墨絵の富士はふるえふんばる


古屋 いく子
八畳間にリースのベッドL字に置き老老介護の始まりし春


古屋 泰子
ベッドより落ちたる夫(つま)よこの夜更けシーツに包み担ぎ上げたり
細見 春子
二人して星を数える夜明けまで母と宇宙へ徘徊の旅


本田 工
年寄りが押す車椅子座す息子二人の影の何処(いずこ)めざすか
増田 信子
一皿にビタミンミネラル皆乗せて仕上げにトロミと一匙(ひとさじ)の愛


松井 せつ子
久々に関西弁でささやけば笑みを浮かべて大きくうなずく
見上 玲子
ベッドにて熊避(よ)けの鈴鳴らしつつ我を呼びにし山好きの夫(つま)


三原 忍
天高くあなたに代わって結びしは「少しの長生き」願う短冊
向井 真津
喜寿の子の車椅子押す息づかい難聴の耳とらえ切なし


宗重 美喜子
夫(つま)の足に保湿軟こうすり込めば骨のとがりがわが手にふるる


村上 綾子
長病(ながや)む娘(こ)今年も春を見せたくて桜一枝手のひらにのせ
森貞 和雄
オカリナで童謡吹けば寝たきりの妻の唇かすかに動く


森下 博史
連絡のつかぬ兄弟きっと今空への階段登る母を見る
安井 敦子
引き揚げで幼な二人を連れ来しに勝る苦なしと白寿の母は


山口 博美
言葉(ことは)なき身動きできぬ娘(こ)と暮らしふと振り向けば半世紀経る


山下 ふみ子
病院のエレベーターまで送り来し母を残して扉閉まれり


山田 陽子
急(せ)かさずに夫を待てる我となる動きのにぶき老いの手柄か


山本 佐伃
ぷあぷあと寝息聞(きこ)ゆるああ母は生きているのだわれも眠らん


山本 久子
母よりも大きい口をあけながら母の口へとお粥(かゆ)をはこぶ
吉田 泰子
もしかして母より先と恐れつつ後見の書類整えており


米山 直昭
シベリアの寒い荒野をさまよいて父は友垣(ともがき)背中で運んだ
涌井 ひろみ
半枝蓮(はんしれん)冬虫夏草(とうちゅうかそう)麦門冬(ばくもんとう)煎じる我に魔女の力を


渡辺 進
「死にやせん」卒寿超えた母ポツリ言いシニヤホームの扉を開ける


渡辺 美智子
柊(ひいらぎ)の花の匂えるわが庭に車椅子もて里帰りする


渡邊 由紀
パニックに肩膚(か)む子の皮膚硬かりしさしだす母の上腕もまた

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