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イベント情報

「NHK介護百人一首2017」作品紹介

「NHK介護百人一首2017」へのたくさんのご応募ありがとうございました。
寄せられた短歌12,108首の中から選定された100首をご紹介します。
掲載されている歌と詞書は平成28年12月の、作者の年齢は平成29年1月31日時点の情報に基づいています。

作品検索

作者一覧

赤田 文女
子を看取(みと)る覚悟秘めたる姑(はは)の背をたださするなり長雨の昼


阿久津 シメノ
母囲み弟夫婦の夕餉(ゆうげ)とるアンモニア臭する広き生家で


東 広美
入浴後シャツと間違えステテコに両手を入れて頭入らず


阿南 セツ子
イケメンの若い介護士嫁とる日それまで私(わた)しゃ元気でおらねば


安倍 美智子
震災にわが母抱えくれし夫(つま)今歩けぬをわれが支えん
飯尾 八重子
九十八歳施設の中で投票す私の一票貴重なりけり


池田 敦子
補聴器をつけても遠い姉と我ないしょにならぬないしょの話


池田 ヨシ子
ふんばりて便通ありし九十八歳子が生まれたと足元を指す


石田 佑平
徘徊(はいかい)は祖父の散歩と割り切って二人で歩く夜のあぜ道


稲見 陽子
「浜千鳥」の流れる駅を乗り換えて今日も訪ねるホームの母を


棘木 正市
コツコツと頭打ち回る掃除ロボ今日は妻の退院の日


岩田 紗莉樺
人形をいつも連れてるおばあちゃん人形の名は旦那さんの名
内田 しず江
髪梳(す)くに櫛(くし)の動きとともに揺れ日向(ひなた)の猫の顔となる母
江藤 修
デイルーム東京五輪観(み)ましょうね開会式まで元気でいこな


胡 まり子
「大丈夫?」差し出す子の手遠慮して孫が差し出しゃ笑顔でつなぐ
大木 澄江
寝たきりの爺(じい)の布団に添い寝して三歳は待つ遊んでくれる日


大谷 はるみ
何もかも忘れ果てたる我が夫(つま)の笑顔忘れぬ神に感謝


岡田 正子
わが歌の載る新聞を胸に抱きデイサービスより母は帰り来(く)


岡部 繁雄
もの言えぬ妻に寄り添い名を呼べば我を見つめてほほ笑み返す


小川 美子
病ゆえベッドの上の楽しみは指を折りつつ短歌とあそぶ


押田 久美子
叔父さんが亡くなったよと告げてから十秒だけの母の悲しみ


音西 由美子
点滴が嫌で針抜き引き出しに点滴ビンを隠したる母


小野 貞枝
認知にてデイサービスに通ううち恋人できて進行とまる
川合 美里
最愛の家族の顔は忘れても夫の好きな花は忘れず


河本 ミツ
テーブルに貼られし我のフルネーム汚れ見え来てホームは終(つい)の住みか


関貫 聖二
亡き父を思い出させる恍惚(こうこつ)の人森繁久彌の演技のすごさ
北岡 由紀子
一日中捜し物する夫(つま)が言う君の介護は引き受けたから


北村 冨士子
食事どき胃ろうの夫(つま)は「いただきます」「ごちそうさま」と言ふは切なし


北村 道子
賢治の詩「決して怒(いか)らず」まだまだだ知っているけど実行できず


木村 裕香
「昔はね」と話すあなたはきらきらと若きあの日にタイムスリップ
草野 安治
日に二度も署轄(しょかつ)ちがいのパトカーで帰宅の義父(ちち)はタクシーのつもり


栗原 貞治
カラオケで歌詞を見ないで五十曲目の不自由さがバネになったか


黒川 公代
固き指おのおの開けばおのおのに汗を握りて白寿入浴


黒木 直行
百歳を生きたる父の使いたる杖(つえ)の頑固に傘立てにあり
小暮 キヨ
復活じゃパジャマより服へ着替えたる義母(はは)は笑いて三歩あるきぬ


越川 敏子
リューマチの痛みに耐えるこの身にも生きるかいあり朗読奉仕


小島 あさ子
デイサービス通い始めて早(は)や八年おしゃれ忘れず明日(あす)何着よう


近藤 恵美子
雨の中出歩く夫(つま)に傘さしかけともに堤を徘徊してをり
鷺沢 月子
ハンドルに結ぶ小さき〆飾(しめかざ)り歩行器は我が三本目の足


佐藤 響子
愚痴ばかり十年振りのミーハーよ麻痺(まひ)母語るスマップ解散


佐藤 智香
「あなたの手温かいね」と握る手はより温かい百一歳の手


佐藤 裕吾
「構うな」と言い続けていた月日過ぎ今では小声で「お願いします」


澤栁 滋子
三回忌過ぎてようやく夫(つま)の記(き)す乱れた文字に苦しみを読む


三藤 早苗
よしよしとへこんだ私を撫(な)でてくるちりめんじわのぬくもりある手
志田 みどり
皿なめて片っ端からペロペロとテレビで見てたベロ出し体操


篠田 一美
冷蔵庫縛って安心次の朝玩具(おもちゃ)のバナナかじられた跡


島野 征志
もったいないまだ使えると紙おむつ洗う母の背白寿近し


清水 正次
病床に在(あ)れば妻への心遣いせめて髭剃(ひげそ)り面会の前に


進藤 佐喜子
化粧してデイサービスを待つ八十路帽子に杖と整えて居(お)り
鈴木 哲也
まだ行けるもう一度行く神南(じんなん)に卒寿の父は今日も句を詠む


鈴木 裕子
くるりんぱ独りで立てぬ母支え方向変える魔法の言葉


須田 小波
両親にできる最後の親孝行それはきっと笑顔で介護


須山 恵美
進まない曽祖母と歌いしチューリップ夜が更けるまで花咲き続け
髙瀬 良子
デイサービス嫌いて卒寿の母は言う「周りはみんな年寄りばかり」


髙橋 葵
ピアス見て俺もつけたい祖父がいう耳に補聴器おしゃれに見える


竹川 彰輔
薬くれ痛いよ痛いよ死にたいよ黙って渡すラムネの薬


田代 久子
パーキンソン震える指のリハビリに祈る折鶴まず一羽から


田中 敏子
静かなる廊下に出でて杖をつく一二一二と我の心音


田中 はるみ
真夜中に汚物捨てる戸の外に広がる星座介護ありてこそ
辻田 早代美
隙ねらい外へ出たがる母と猫三年暮らせばよく似てきたり


鶴川 和子
小学生手押信号青にしてお先にどうぞ手を差し出して
寺司 愛子
爪を切る夫(つま)の素足の美しさ介護の日々の発見楽し
徳永 タヅ子
三年も言葉話せぬ姉なれど頰ずりすれば笑み浮かべくる
中上 汐理
「先生」と私のこと呼ぶおばあちゃん私にとっては「大先生」


長澤 実乃里
してあげるさせていただくその違い分かると気持ち自然と変わる


中島 静子
玄関に花一輪のおもてなし小さな幸せ介護の合間


中野 美恵
七夕のお願いごとに九十七歳ホームの母は 「長生き」と書く


中山 きよ子
悪いとこどこも無いよと言い切りて百九歳の姑(はは)のまどろむ
西 悦子
彼女かい?施設仲間に冷やかされ真面目に父は娘、娘だ
野尻 多賀江
生きててねそばに私がいるからね生きてるだけで笑顔になれる


野田 保
点滴の音聴こえるような静けさよ妻のまばたきにただ頷(うなず)いている


野村 喜義
病院のベッドに空を見て過ごす母がしばしば天気を当てる
橋本 敏明
介護とは自分がダウンせぬように自分を看護相手を介護


橋本 ミチ子
若き日の夢はピッチャー一八〇センチ老老介護の今重き荷となる


波多野 保延
すまぬとは口には出せぬ江戸っ子だ死ぬ直前の言葉は秘密


濱 守
縁側まで妻を抱(いだ)き運び来て久びさに窓越しの陽(ひ)に座らせる


早川 均
砂利道を「せーの」と言って車椅子押せば「せーの」と母もふんばる


原 順子
「まだかいね」戻らぬ亡き父待ち侘(わ)びし母を慰む「今日泊まりやて」
東 瑞希
車椅子操縦技術ピカイチの選手がいっぱい老人ホーム


樋渡 幸江
何らかの役に立ちたい母ならん「車椅子でも留守番できる」と
藤本 達也
長生きの秘けつは何かと問う声に笑うことだとハハハと笑う


藤山 和子
口紅とヘアピースを欲しと母九十二歳の退院の朝
星野 潤之介
これだぁれ?シワクチャだねと虫眼鏡かざしてのぞくスマホの画面


本浪 純子
大枚(たいまい)で購(あがな)いし夫(つま)の杖なれど今日も無料の我が手に頼る


本間 スミ子
一日に何度も着替えする夫夏になったり冬になったり
前田 千広
「彼氏おるん?」「顔より心」「真面目な子」恋の助言も米寿の重み


増田 信子
頭蓋骨はずして絡む配線を正して元のあなたにしたい


増永 スミコ
意識無く眠り続ける母の手をそっと握れば返事する指


丸山 知子
被災してたくさんふれた優しさに心に誓う未来の介護士
三浦 芳子
血流の届かぬ指に手袋し夫(つま)は手を振るミッキーのごと
向川 久美子
ばぁばはね忘れん坊の病気なの優しく答える孫にほほ笑む
森 萌美
介護するいつかはされる我が身ゆえあなたはいつも未来の私
山川 幸代子
「よ、男前」と寝たきりの夫(つま)の髭剃ればほのかに笑い涙浮かべる


山岸 キクヱ
車椅子にむずかる人を笑わせて風呂場に急ぐ若きヘルパー


山西 えり子
若いからまだ死ねないと百歳の独居は今日も庭を浄(きよ)める
𠮷田 正美
鶏頭のこぼれて咲ける父の墓所母の介護に遠のく墓参


𠮷原 實
回想法青春問われし我が妻はそもなれ初めを誇らし気に言う
若林 美代子
独居になり貼り紙多し電話口息子居ないと孫の太い字


若生 和子
真夜中に大きな声で七つの子歌い出したり母は百歳


渡邉 治榮
介護士の手振り身振りで意思疎通解(わか)りましたとグーで答える

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