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イベント情報

「NHK介護百人一首2015」作品紹介

「NHK介護百人一首2015」へのたくさんのご応募ありがとうございました。
寄せられた短歌13,497首の中から選定された100首をご紹介します。
掲載内容は、平成26年12月時点の情報に基づいています。

作品検索

作者一覧

赤澤 皆子
餌付けして笑む母見たく車椅子そっと移動し鳥来るを待つ


安部 善枝
寝静まる夜中に起き出す夫(つま)なれば猫の如(ごと)くに鈴つけられて


安藤 甲子
寝たきりの姑(はは)が手拭いほおかむり「どれさ行くか」と畑へ行く気
磯貝 幸子
洗浄を終えし入れ歯を手渡せば食べていいかと母はまた言う


伊藤 愛理(ペンネーム)
物言いの相撲を観(み)る目確かなりトマトかりんごか分からぬ父は


伊藤 志津子
なにもかも忘れし夫(つま)よ一度でいい私の名前志津子と呼んで


井上 重利
身障の妻の散歩に付き添えば我がよろけて妻杖(つえ)で止(と)む


井上 順子
風呂よりも人の手温(ぬく)しといふ母の背中なでをり外は粉雪


井上 三智子
車椅子オーライオーライおしめ孫曽祖母のそばに寄り添い歩む


今井 弘子
車椅子座りし父の薄い背は稲穂担いで我を負うた背


今家 照子
惚(ほう)けても夫(つま)に優しさ残るらしわが服似合ふと声ひそめ言ふ


岩城 康徳
パパパパと甘えてすがる日もあれば時には離縁されたりもする


岩ア 節子
がん末期の痛みを問うに身体(からだ)より心が痛むと夫(つま)は言いたり
上野 直
あのころの君の笑顔が見たいからひょっとこも踊るピエロにもなる


上野 邦子
パーマかけ薬を塗るたび「痛いよー」と泣かれて気付いた母の心を
江頭 南美
手が痛い麻痺(まひ)の左手大嫌いでも孫のため服を編む祖母


江尻 美智代
度の弱い眼鏡で長所ばかり見る米寿の夫(つま)とダイヤモンド婚
大倉 景輝(ペンネーム)
失明の吾(われ)の手足はまだ動く寝たきりの妻の介護支える


太田 ミチ子
ああここが一番とわが膝に頭(ず)を乗せくる夫(つま)よ死の十日前


大矢 律子
笑えない母をなんとか今日こそはどじょうすくいを毎晩おどる


岡里 有可子
訪問し家の奥から合言葉あいさつ代わりの「まだ、生きとるよ!」


小川 ヒロ子
さあ行こう湯加減いいし飯旨(うま)し朝五時なのにもう靴を履く


小田 芳徳
新春や何は無くとも妻の居て老老介護のできる幸せ


小野 みゆき
紅さしてとてもきれいねと声やればはにかむ姉に正気残りし


尾野 黎司
野球帽妻にかぶせて車椅子今日は仙(セン)ちゃん明日は野(ノ)ムさん
梶岡 辰男
鍬(くわ)持ちし方(ほう)に曲りてゐる指の爪切りてやる母認知症


片山 松造
口ありて耳は借りての電話口八十路(やそじ)半ばの朗々夫婦


加藤 涼介
祖母の世話必死にしている母を見て気付いてみたら介護福祉士


川口 愛子
夫(つま)のため付けてもらいし介護手すり今は我の手助けとなる


川瀬 敏枝
三歳のひ孫はベッドに潜り込み介護士になりジュース飲ませる


川田 真紀子
娘(こ)の入れし湯たんぽぬくし山の蚕(こ)となりてねむらん凩(こがらし)の夜(よ)は
菊地 雪子
介護づけもう嫌ですと家出るも晩鐘聞きて夫(つま)のもと帰る


北 博子
われに言ふ言葉の意味はわからねど頷(うなず)くたびに夫(つま)の目笑ふ


桐原 勝代
さくらんぼ旨(うま)しと食(は)みし九十五の母はその種を土にうずむる
草野 いさを
悲しみはエレベーターの中に捨て夫(つま)のベッドに笑顔を運ぶ


久保田 鶴子
誕生日に欲しいものはと問うたびに母さんと言う施設の父は


黒木 典子
字は読める漢字も仮名も大丈夫食べた御飯はすぐに忘れる


黒太 まつゑ
「痛むか」と気遣ひくれる夫(つま)もまた大腿(だいたい)骨折病病介護
小林 茂雄
言へず来(き)し妻への愛のひと言を老老介護になりて口にす


小山田 真生
歓声にスピード落とす送迎車しばし見とれる向日葵(ひまわり)畑
齋藤 知恵
「だいじょうぶ?」介護疲れで伏す母の頭なでてる父認知症


坂部 哲之
風に乗り祭り囃子が聞こえきてベッドの父の眼(まなこ)輝く


坂本 葉子
「あんたさん、ええ人やなあ」と吾(われ)に言う「私よこさん、あんたの子やで」


佐々木 康子
逃げ場所を花壇と決めて土いじり安らぐ明日を信じ種まく


佐藤 鈴枝
帰らねば困ってるはず亡き父を案ずる母の手を取り歩く


眞田 よね
陽(ひ)がさせば布団干すべし病む夫(つま)を太陽の香(か)に包みやりたし


佐野 桂子
逢(あ)いたくて特急乗り継ぎ顔みればあんた誰かと罵声吐かれし
重松 冷子
夫(つま)ベッド私もベッドで介護の身二人元気と娘にメール


品口 郁子
なぜ私と問いつつ介護三十年今は私で良かったのと問う


白神 満壽美
別れぎわ後(あと)にぴったり付いてくる母も一緒に帰ると思い
杉山 喜子
介護中短歌を見ては癒やされるいつしか私歌人(うたびと)になり


角 美恵子
会うたびに帰り支度をする母に辛(つら)き嘘(うそ)言う何百回か
関口 千惠子
三つ指つき「おいとまします」と二度三度父に挨拶母は施設へ
波 貞男
寝たきりの義母(はは)に季節が見せたくて室(へや)暗くしてホタルを放す


埜 秀行
定期券通勤通学あるけれど有りそで無いのが介護定期券


高橋 ほのか
できないと言ってた将棋は駒持てば動き出す手で華麗に王手


高橋 まさお(ペンネーム)
片麻痺(かたまひ)の母の手を揉(も)む来る年も来る年も雪を掻(か)き来(こ)しこの手


橋 柚子
母の日に訪ねて来る人もなく折り紙で折るカーネーションの花


武川 真里子
「立ち上がれん。一人じゃ無理じゃ。手を引いて」孫がいないとさっさと立つ祖父


竹ア 香澄
オレはまだ生きているかと夫(つま)の聞くこの世のことはおよそ忘れて


田澤 ユリ
若き頃つれだち歩くことのなき夫(つま)に腕貸し通うリハビリ


多田 牧子
口あけて待つこともありこのごろは幼(おさな)に返りし母は百歳


田村 美佐子
にっこりと合わせた手の意味ありがとう音のない声心に響いた
塚田 喜久江
脳トレに交換日記始めた日夫(つま)の誤字見て涙がにじむ


土屋 寛子
「お師匠さん、歌が出来た」と教え乞いみんなでチャレンジ百人一首
中内 忠夫
ただ一人死と向き合って暮らすおれ心なごむや訪問介護


中尾 俊賢
「へへへへ」と笑いかけられ「へへへへ」と笑い返して会話が続く


中島 瑩子
恋人のごとく会話は弾まねど車椅子押し喫茶へと行く


中島 和代
点滴しうつらうつらの父の手の指の長さを我と比ぶる


永野 桂子
臥(ふ)す夫(つま)は私の口に指を触れその指自分の口に移せり


仲原 清子
空襲をのがれ生き来(こ)し認知症の姉はいまだに爆音におののく


中原 幸子
おいしいネはじめて食べたと母が笑むあなたが教えた料理なのに


仲程 順子
耳元でドライブに行こうとささやいて波の音(おと)風の音(ね)病室に流す
西田 英子
手が三つ体をもう一つ欲しき日々「おーい」またもや吾(あ)を呼ぶ声が


西部 稔(ペンネーム)
幼き日われがされたるごときまま母の頤(おとがい)拭ひてをりぬ
早矢仕 トキ
楽しきは失語症の夫(つま)詩人なり「雨降ってないよ星が咲いてる」と


林 敏夫
寒き夜われにふとんをかけ直す認知病む妻寝たふりす我


林 祐子
とろみ食口に寄すれば舅(ちち)笑みて過ぎにし日々をもともに呑(の)み込む


原 順子
タケちゃあんはるか昔の飼い猫を呼び待つ母の時は戻りて


原ア 浩史
じゃんけんしいつもチョキ出すあなたの手拘縮(こうしゅく)する手を震わせながら
樋口 三千男
ご近所の老いには優し吾(われ)なれど認知症(にんち)の母には声荒げおり


久田 恒子
行けばすぐ「大変だから帰りなさい」言ひつつすがるやうな母の眼(め)
藤澤 利喜雄
やって見せ言って聞かせてさせてみて笑顔でほめる汗の介護士


古谷 翔大
いつもなら普通の顔のオレだけど施設じゃイケメン水曜の男
細川 由里
もうあかんああしんどいわ生きるのは死ぬ時までは生きとかななあ


保尊 重子
次々と山菜の名挙げ頃合ひと歩めぬ夫(つま)が山行き望む


堀 一子
風邪熱に唸(うな)れるわれに病む夫(つま)の気遣ふか尿意告ぐる声小さし
前田 宏
車椅子押して判(わか)った道路とは水平に出来ているものでない


松谷 粂子
何もかも出来ぬわたしに一つだけ吾(われ)は味見の師匠でおわす
三井 日那子
こぼれゆく母の記憶にまだ残る我の名前とふるさとの家


宮谷 瑠美子
私の名忘れた母も冬瓜(とうがん)の煮方を聞けばよどまず教える
向江 かづ
五人部屋筆談文字はトンツツツ通信兵の名残忘れず


室岡 和子
こんなにも面倒を見る妻だとは思わなかったと筆談の義兄(あに)
盛岡 悦美
介護短歌の冊子を開き探すのは今日の自分と重なる歌なり
柳澤 秀樹
認知症説得よりは納得を一緒に探すこころづかいを


矢野 博子
「これ似合う?」白寿の姑(はは)が手を差し出しピンクのネイルで今を楽しむ


山口 恵美子
いつのまに手をつなぐ嫁姑(しゅうとめ)になったのだろう愛(いと)しさ不思議 
横山 美枝子
幾たびも息有ることを確かむる死にたいと言ふ夫(つま)の寝息を


義煎 ヨシ
「遅いっ!」と荒げる夫(つま)に朝刊わたす病院の玄関七時しか開かず
若菜 敏子
降りしきる雪の足跡追いかけて名を呼び捜す午前二時半

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